認知症で一人暮らしの方におすすめの暖房器具はエアコンです。
世の中では、高齢者の一人暮らしに注目した報道もよく目にします。
親が認知症になってしまった…。一緒に暮らしたいけど色々問題があり難しい。同居は親に拒否されてしまった。
このような場合、一人暮らしを続けるにあたり、さまざまな心配事が出てきます。
特に火の始末に関しては、命に関わる問題なので早急に解決する必要があります。
コンロやお風呂、ポットなどは自動で電源がOFFになるものも多いのですが、問題は暖房器具です。
暖房器具は自動でOFFになるものもありますが、カーテンや洗濯物などが原因で火事の可能性があるんです!
また、熱いことを認識できずに火傷をしてしまう可能性もありますよね。
この記事では、認知症で一人暮らしにおすすめの暖房器具と、より快適に使用するための対策をお伝えします。
Contents
認知症で一人暮らしの暖房器具はエアコンが1番安全!
認知症の一人暮らしで一番安全に使用できる暖房器具はエアコンです。
暖房器具はたくさんの種類がありますが、大きく分けると3つの種類に分けることができます。
暖房器具の種類
- 対流式
- 伝導式
- 輻射式(ふくしゃしき)
1.対流式とは、熱によって暖められた空気を循環させることで室内を暖める方法です。
広い部屋でも比較的短時間で暖めることができます。
暖房器具が天井近くにある場合、足元が温まりにくいです。また、風が発生するので乾燥しやすいのです。
例として、エアコン・ファンヒーター・石油ストーブなどが対流式があります。
2.伝導式とは、身体が直接接触することで温かくなる暖房器具です。
ダイレクトに身体を温めてくれるので効率は良いですが、部屋全体は暖まりません。
例として、ホットカーペット・電気毛布・電気あんかなどがあります。
3.輻射式(ふくしゃしき)とは、熱を持った物体が放射(輻射)する熱を利用した暖房器具です。
部屋を暖めるのには時間がかかりますが、風が起きないのでホコリなどで空気が汚れる心配はなく、乾燥も気になりません。
ただし、広い部屋を暖めるのには不向きです。
例として、パネルヒーター・オイルヒーターなどがあります。床暖房なども輻射式ですが、部屋全体に施工できるので部屋が暖かく感じられます。
認知症の高齢者が使える暖房器具は?
- エアコン
- オイルヒーター
- ホットカーペット
- 床暖房
認知症の一人暮らしで一番安全に使用できる暖房器具はエアコンです。
エアコンは火傷の心配がありませんし、基本的に火事の可能性もかなり低いですよ。
オイルヒーターも他の暖房器具に比べると、比較的安全です。オイルヒーターの中には、表面温度が60度程度にしか暖まらないものもあります。
火傷や火事のリスクは0ではありませんが、灯油ストーブなどと比べると比較的安全です。
ホットカーペットも通常の利用方法では、火事や酷い火傷の可能性は低いでしょう。
ただし、長時間座ることによる低温火傷の可能性があります。一人暮らしだと座っている時間も長くなってしまいがちなので、注意が必要です。
資金に余裕があればホットカーペットよりも、床暖房をおおすすめします。
部屋全体に施工するので、じんわり暖かく、エアコンでは寒く感じる足元を温めてくれますよ。
認知症の一人暮らしで注意するポイントは火傷と火事!
先に認知症の一人暮らしにおすすめの暖房器具のお話をしましたが、次に認知症で一人暮らしの方が暖房器具を使用する場合の注意点をお伝えしたいと思います。
認知症の一人暮らしの方が暖房器具を使用する場合、注意する点としては大きくは2つ、『火傷と火事』です。
灯油ストーブやガスファンヒーターなどは、部屋を暖める能力は優れていますが、火傷や火事の可能性が考えられます。
認知症の方は、熱いことが認知できずに触ってしまい火傷をすることは、めずらしくはありません。
灯油ストーブの上にやかんを設置するときに火傷をしたり、空焚きをしてしまったりすることもありたいへん危険です。
私は老人ホームに勤めていましたが、入居者さんのなかには「灯油ストーブは、お湯が沸きお茶も飲めて、加湿もされるし一石二鳥!」と長年の愛用者がたくさんいました。
古くからの知恵ですが、やかんで加湿するのはとても危険なのでなんとしても避けたいところです。
他にも、洗濯物を良かれと思いストーブにかけてしまい出火したり、カーテンに近づけすぎて出火したりするなど、様々な危険が潜んでいます。
またこれらの暖房器具は一酸化炭素を発生させるので、一定時間ごとに換気することが求められているのです。
しかし、認知症の方は自身で定期的な換気を行うことは難しいので注意が必要ですね。
もちろん灯油やガスのヒーターもメーカーさんが安全対策としてタイマーや一定時間使用しているとアラームが鳴ったり、電源がOFFになったりと対策がされています。
しかし、電源がOFFになるということは、自身で再度電源を入れなければ室温はどんどん下がり、低体温の可能性が出てくるということです。
認知症の方は寒さを感じにくい方もいらっしゃるので、寒くなっても自身で対策が取れないことも…。冬場の夜間などは心配ですよね。
上記でお伝えした認知症の一人暮らしでも使用できる暖房器具は、これらの危険が比較的低いものです。
しかし、各々別の面でデメリットもあります。これらのデメリットは対策をすることで快適に使用できるので次の項目でお伝えしますね。
認知症の一人暮らしで安全かつ快適に暖房を使うコツ!
エアコン
ポイント
- エアコンを使用する場合は加湿器を使用し空気の乾燥を防ぐ(もしくは洗濯物を干す)
- エアコン本体のランプが気になる場合はテープでふさぐ
- リモコンは定位置もしくはすぐに目につくところに置く
- エアコンのみでは暖かさが足りない場合は重ね着をし、ホットカーペットなどと併用する
認知症で一人暮らしの暖房器具を選ぶとき、1番に検討していただきたいエアコンですが、高齢者にはあまり人気がありません。
なぜならエアコンは空気の乾燥が避けられません。高齢者の方はエアコンの使用で乾燥することや、エアコンからの風を嫌う方は多いです。
また風が出るので、ホコリなどが舞い上がり、空気が悪くなります。
空気の乾燥やホコリの舞い上がりには加湿器を使用しましょう。
認知症が進み、加湿器の水を捨ててしまったり、飲んでしまう場合は洗濯物を干すだけでも加湿になります。
エアコンの風は直接当たらないよう、可能であればベッドの位置を調節するのが一番良いです。
しかし、認知症ではベッドの位置を変更することが難しい場合も多いので、風向で調節しましょう。
ベッドの位置を変更すると動かしたことを忘れてしまいパニックになり、転倒の元になることもあるので注意が必要です。
認知症の方の中にはエアコンについている電源などのランプが気になる方もいらっしゃいます。その場合はテープなどで塞いでしまいましょう。
過去に私が勤めていた老人ホームで、入居者さんがパイプ椅子に登り転倒したことがありました。
なぜパイプ椅子なんかに…と思い本人に尋ねると、「風向きを変えたいのにリモコンが見つからず、椅子に登り向きを変えようとした」とのことでした。
認知症で一人暮らしの場合、転倒しても発見が遅れる場合もあり危険です。
リモコンは普段から定位置がある場合は定位置へ。なければ、探したときにすぐに目につく場所におきましょう。
エアコンは安全性が高く、多くの老人ホームなどでも設置されている暖房器具です。
しかし、性質上足元が寒く感じてしまいます。その場合には、重ね着をしたり、ホットカーペットを利用したりすると良いですね。
エアコンの中には、スマホで遠隔操作可能なものもあります。離れていてもエアコンの設定をチェックできるので夜間も安心です。
オイルヒーター
ポイント
- 火事の心配がある場合はオイルヒーターに囲いをする
- 布団やベッド、カーテンなどから離れた場所に置く
- 加温能力はあまり高くないので、洋室などで使用する
オイルヒーターはあまり空気の乾燥は感じません。
火傷についても、60℃程度なので酷い火傷の可能性はかなり下がりますし、火事の可能性も灯油やガスと比べると低く比較的安全な暖房器具です。
しかし、必ず安全なわけではありません。多くはありませんが、洗濯物などによる火事の報告もあります。
心配な方はオイルヒーターに囲いをして直接洗濯物がかかるのを防ぎましょう。
高齢者は、洗濯物を暖房器具の近くや、酷い時には直接かけて乾かそうとする方もおられます。
オイルヒーターにも24時間つけたままで良いものとダメなものがあるようです。
使用方法は各オイルヒーターの取り扱い説明書を確認し使用してくださいね。
私は子供が冬うまれだったので、暖房器具はオイルヒーターを購入しました。
すごく暖かいわけではないのですが、じんわり暖かく、乾燥があまり気にならなかったので、すごく良かったですよ。
本体を触っても、酷い火傷をするような温度ではなかったので、安心して使用できました。
ぜひ、エアコンの使用が難しい場合の候補として検討してみてください。
ホットカーペット
ポイント
- エアコンで冷えがちな足元を温めてくれる
- 部屋全体を暖めることはできない
- 長時間座る(寝転ぶ)ことにより、低温火傷の可能性があるので注意が必要
- 夜間など、電源を切りたい場合は、コンセントに設置するタイマーなどを使用
- 資金に余裕のある場合はぜひ床暖房を!
ホットカーペットは暖かいですが、部屋全体を暖めるのは難しいので補助的な暖房器具です。
寝具に使用する場合は、低温火傷の危険性も出てきますのでできれば寝具での使用は避けた方が無難ですよ。
しかし、高齢者は電気毛布やカーペットを寝具に使いたい方もおられます。
一人暮らしで、朝まで電気毛布の使用は避けたい場合、コンセントに設置するタイマーが販売されていますよ。
日中にご家族やヘルパーさんがタイマーをセットできれば夜間に電源を切ることが可能です。
しかし、認知症の場合、新しいものがいきなり部屋に出現すると、気になって抜いてしまうこともめずらしくはありません。
やはり、床暖房がじんわり部屋全体も暖かくなりおすすめです。
コンセントに設置するタイマーや、オイルヒーターのおすすめを紹介しますので、参考になさってください。
まとめ
- 認知症の一人暮らしで一番安全に使用できる暖房器具はエアコン
- 認知症の一人暮らしで暖房使用時に問題になるのは火傷と火事!どちらも命の危険を伴うので早急に対策が必要
- エアコンは加湿器の使用とホットカーペット(もしくは床暖房)の使用で快適に!
色々と認知症の一人暮らしで安心・安全そして快適に暖房器具を使用する方法をお伝えしましたが、認知症というのは人によって症状はさまざまです。
一人一人、起きる問題点も違うので、対応も変わります。
ですので、認知症で一人暮らしの暖房器具に悩んだ場合、担当のケアマネージャーさんがおられるのなら、一度ご相談されるのが良いでしょう。
一人一人に合った暖房器具の設置や、安全対策についてはもちろん、さまざまな相談に乗ってくださるはずです。
まだケアマネージャーさんがまだ決まっていない段階であれば、今回の記事を参考にして、認知症で一人暮らしの方の暖房器具を選んでみてくださいね。