日本の料理に欠かせない調味料としてどの家庭でも使われている「味の素」ですが、実はアメリカでは禁止になっています。
日本人の私たちからすると、料理のうま味を高めてくれる味の素が禁止なんて信じられませんよね?
でもアメリカでは「健康に害を及ぼす」という理由で禁止になっていて、実は他の国でも避けられていることがあるんです。
そんなに禁止にしている国があると、「えっ!味の素って本当に大丈夫なのかな?」と気になりだしてきますよね?
味の素などの「うまみ調味料」といわれるものは、素材の良さを引き出しコクと深みをあたえ、全体の味をまとめてくれるすぐれもの。
そんな日本人の舌に必須の味の素がなぜ海外では禁止されている国があるのか調査しました。
この記事では、なぜアメリカや他の国でも味の素が禁止になっているのかその理由をくわしく解説していきたいと思います。
Contents
味の素がアメリカなど海外で禁止されている理由

アメリカでは「味の素」の主成分である「グルタミン酸ナトリウム(MSG)」が体に害をおよぼすという理由で禁止になっていました。
では、この「グルタミン酸ナトリウム(MSG)」についてくわしく解説していきましょう。
グルタミン酸ナトリウム(MSG)が体に害をおよぼす?
グルタミン酸ナトリウムとは
グルタミン酸とは昆布のうまみ成分でサトウキビから取れる糖蜜やデンプンから発酵法で作ったもの。
それを調味料として使いやすくするために、ナトリウムを付けて乾燥させたものをグルタミン酸ナトリウムという。
何十年も前に東京帝国大学の池田博士が「昆布だしの美味しさの正体がグルタミン酸」であることを発見しました。
その池田博士がドイツへ留学した際にドイツ人の体格と栄養状態の良さに驚き、「日本人の栄養状態を(おいしく食べて)改善していきたい」と願い、その想いを引き継いだ方が「味の素」を開発し発売されることになりました。
「味の素=グルタミン酸ナトリウム」はアメリカでこのように認識されています。
では、なぜアメリカで味の素が禁止となったのか、そのきっかけを解説していきましょう。
1986年 中華料理症候群事件
アメリカ人が中華料理を食べた後に、頭痛や体のしびれ、動悸などの症状を訴えました。
その際に中華料理店で使われていた味の素が症状の原因なのではないかと疑われたのです。
この事件がきっかけにより味の素は「体に害をおよぼす」というイメージがついてしまい、禁止にまでなってしまいました。
確たる証拠がなかったのですが、このイメージは現在まで引きずることになります。
このグルタミン酸ナトリウム(MSG)の特徴として、過剰に摂取しても気付きにくいという点が挙げられます。
塩や醤油のようにとりすぎると「しょっぱい」と感じたり、砂糖のように「甘すぎっ」と感じることができますが、グルタミン酸ナトリウム(MSG)は一定の量を超えると、味の変化がなくなり大量に摂取していることに気づきにくい場合があります。
これが人によって体調を崩す原因である可能性があるということなのです。
適量であれば「体に害を与えない」ということが証明されている
しかし、適量であれば「体に害を与えない」ということがすでに証明されています。
「過剰に摂取しなければ害はない」これは塩や砂糖のようにどんな物にもいえることではないでしょうか?
現に、味の素が入った日本の料理を食べている私たちの周りでも、料理を食べた後に「頭痛や体のしびれ」などを訴えている方はほとんど見かけませんよね?
「味の素」が原因で体調不良になったという証明もなかなかしづらいと思います。
ですので、「味の素(グルタミン酸ナトリウム」は危険だから使用するのはやめようというのは、少し短絡的といえるのではないでしょうか。
味の素の禁止国はアメリカ以外にもたくさんある

実はアメリカ以外でも味の素が禁止の国があるんです。
アメリカの隣国カナダでも禁止になっていて、健康志向の強いヨーロッパでもこの味の素を避ける傾向にあったようです。
ただ、イギリスの三つ星レストランでは、味の素と体への害の関係性を否定しているなど、世界的に安全性が認知されつつあります。
意外と知られていませんが、貧民層が多いアフリカの地域では味の素が広く使われているんですよ。
ご存じのように味の素はうま味を増すことができる調味料。
うま味成分が加わることで、たとえ肉や魚を使っていなくても、まるで肉や魚を食べているようなコクが増した味になります。
これが肉や魚をなかなか食べることが出来ないアフリカの地域で味の素が重宝されている理由なのです。
いまだ味の素を禁止にしている国もありますが安全性が証明された今、もはや風評被害に近い状態なのではないでしょうか?
味の素はなぜ体に悪いといわれるのか

こんなに重宝されている味の素はなぜ体に悪いといわれるのでしょうか?
味の素はよく「化学調味料」といわれることがありますがこの名称は、ある料理番組が付けた名前だそう。
なにか、「化学」と付くだけで体に悪そうな気がしてきませんか?
今は「うま味調味料」といわれていますが、長年「化学調味料」という名称が使われていた悪いイメージが先行して、体に悪いはずといわれるようになってしまったのもあるでしょう。
先ほども述べたように、中華料理店で食べたアメリカ人の体調が悪化したというイメージもあるでしょう。
しかし、完熟トマトを5個くらい煮込み作ったトマトソースは、味の素2杯分くらいのグルタミン酸が含まれているそうです。
高級な昆布は寝かせることで雑味がなくなり純粋なうま味が増すそうです。このうま味とはグルタミン酸です。
味の素は天然のサトウキビを発酵させて作られているので、トマトソースや昆布と変わらないものといえるんですよね。
適量を守れば他の調味料と変わらないことが証明された今、味の素だけが体に悪いという根拠は何もないのです。
まとめ
味の素がアメリカなど海外で禁止されている理由
アメリカ人が中華料理を食べた後に体調不良を訴えたことから「味の素は健康に害を及ぼす」といわれるようになったしまった。
しかし、体調不良と味の素の関係性がないことが後に証明される。
どんな食べ物でも必要以上に接収すれば体に害を及ぼす可能性があり、それは味の素にかぎった話ではない
味の素の禁止国はアメリカ以外にもたくさんある
健康志向の高いカナダやヨーロッパで避けられている傾向がある。
しかし、徐々に害がないことが認知されてきていて広まりつつある。
アフリカの貧しい地域では味の素を料理に使うことで肉や魚の味のようなコクが出て重宝されている。
味の素がなぜ体に悪いといわれるのか
1986年の中華料理症候群事件のイメージと「化学調味料」という印象が悪く、体に悪いはずという思い込みが拭えない人がいる。
トマトソースや昆布にも味の素と同じ成分の「グルタミン酸」が含まれている。
そんな中、味の素だけが体に悪いという理由にはならない。
さて、日本人が食べている料理に広く使われている味の素。
そんな日本人が味の素を禁止すればもっと長生きすることができて、ダントツの長寿世界一を達成することができるのでしょうか?
国際連合食料農業期間(FAO)と世界保健機関(WHO)は、グルタミン酸とグルタミン酸ナトリウムの安全性について調査し、「人が食べる場合に健康を害することはないため、1日の摂取許容量も設定しない」という見解を示しています。
こうした権威ある機関が安全性を証明しているにもかかわらず、味の素は体に悪いというイメージが残り続けています。
このイメージがある限り、なかなか禁止が無くなることは期待できないのではないでしょうか。