仏壇にお供えしてはいけないものは香りの強い花や臭いの強い食べ物(五辛:ごしん)、肉類、魚類です。
では、なぜ仏壇に香りの強い花をお供えしてはいけないのか、肉や魚は避けるべきなのか、あなたはその理由をご存じでしょうか?
故人が生前に好きだったバラを飾ってあげたい、好んで食べていたお刺身をお供えしてあげたい…と思うのは、故人と親交があった方なら当然ですよね。
ですが、香りの強いもの&肉や魚などの生ものをお供えしてはいけない!と言われるのにはそれなりの理由があるのです。
今回は、その理由とともに仏壇にお供えしてはいけないものを紹介していきます。
また、お供えをする際の手順や、お供えを贈る際のマナーや相場も紹介していきますので、仏壇にお供えしてはいけないものと一緒に覚えていきましょう♪
Contents
仏壇にお供えしてはいけないものは肉や魚&臭いが強いもの
冒頭でお伝えした通り、仏壇にお供えしてはいけないものは香りの強い花、臭いの強い食べ物(五辛:ごしん)、肉類、魚類などです。
まずは、肉類や魚類がなぜ仏壇にお供えしてはいけないものとして挙げられるのか解説していきましょう。
そもそも、仏教とはインドの釈迦(しゃか)を開祖とした宗教であり、仏陀(ぶっだ)が教えを説いて広まったことでも有名ですよね。
仏教が祖霊信仰(それいしんこう:先祖から生きている子孫たちに影響がある、何か貰えるという信仰)のあった日本に伝わり、故人の位牌を置くようになりました。
本来であれば仏壇とはその名の通り、仏様をお祀り(まつり)するための壇であり、いわば家の中にある小さなお寺なのです。
家の中に置いた小さなお寺である仏壇にお供えするものは基本的に仏様に捧げるものであり、仏教の教えに基づく必要がある、ということですね。
ここまで読んで、肉類や魚類が仏壇にお供えしてはいけないものとして挙げられる理由が、なんとなく分かった方も多いかもしれません。
仏教では、命あるものの命を奪うこと【殺生(せっしょう)】を最大の罪としています。
肉類や魚類は生き物を殺生して得ているため、殺生を最大の罪としている仏教の教えに基づき、仏壇にお供えしてはいけないものとして挙げられているのです。
また、肉や魚は日持ちがせず、尚且つ壇上を汚しやすいため、片付けの観点から見ても避けたほうが無難ですね。
それと同じ理由で、日持ちしない生菓子、カビが生えやすいイチゴなどもお供えものとしては避けたほうが無難ですよ。
仏壇にお供えしてはいけないもの【五辛(ごしん)】とは
肉類や魚類が殺生をイメージさせることから、仏壇にお供えしてはいけないものとして挙げられているのはわかりましたね。
肉類や魚類の他にも、仏壇にお供えしてはいけないものの代表として【五辛】があります。
五辛とは
五辛とは、臭いがきつかったり、辛みがある食べ物のことを指します。
宗派や寺院によって内容が少し異なりますが、主に以下の5つが五辛とされているので覚えておきましょう。
- ニンニク
- ネギ
- らっきょう
- ニラ
- はじかみ(生姜や山椒のこと)
臭いが強いものは修行の妨げになることから、もともと仏教では五辛が避けられてきました。
また、仏様は香りを召し上がるとされていることから、臭いの強いものは特に避けなければなりません。五辛を使用した料理を仏壇にお供えするのは避けましょう!
香りの強い花もお供えものとしてはNG
仏壇にお供えしてはいけないものとして、香りの強い花も挙げられています。
考え方としては五辛と同じで、香りを召し上がるとされる仏様にお供えするには、バラなどの強い香りは好ましくないとされているからです。
また、バラにあるトゲも出血やケガの恐れがあり、殺生を最大の罪とする仏教には好ましくありません。
お供えものとして避けたほうがいい花
- 香りの強い花
- トゲのあるもの
- 鉢植え
- ドライフラワー
- 毒のある花
トゲはケガや出血に繋がり殺生をイメージさせ、毒のある花は仏様に毒をお供えすることになってしまうので避けましょう。
ドライフラワーも死をイメージさせ、鉢植えは「そこに根付く=寝付く」とされ縁起が悪いとされています。
基本的に仏壇にお供えするものは生花がいいとされていますが、鉢植えは絶対にダメ!という決まりはありません。
花の手入れを続けるのがなかなか大変…という方もいらっしゃるでしょうし、現在は仏壇に飾れるプリザーブドフラワーも売っていますよ♪
プリザーブドフラワーとは、特殊加工された生花であり、水やりや手入れが不要で長く楽しめるお花です。
香りの強い花、トゲや毒のある花は避け、ご自身の生活に合った花をお供えしましょう!
仏壇にお供えしてはいけないものと一緒にマナーも覚えよう!
仏壇にお供えしてはいけないものを覚えたら、次は正しいお供えものやお供えものを贈るときのマナーも覚えていきます。
仏壇へのお供えは毎日行うのが基本とされているので、正しい順番やマナーを覚えてしっかり供養できるようにしていきましょう。
正しいお供えもの【五供(ごくう)】とは
仏壇にお供えしてはいけないものは肉類や魚類、臭いの強い食べ物や香りの強い花でしたね。
では、仏壇にお供えするべきものとは何でしょうか?答えは、【五供】です。
五供とは
お供えものの基本的な組み合わせ。
①お香
お線香のこと。お線香を焚くことで周りの空間や人を清めてくれます。
天に昇っていく煙がこの世とあの世を繋いでいるとも考えられており、仏様はお線香の香りも召し上がられます。
②お花
新鮮な花は「その花のように清らかな心でいてほしい」という仏様の願いを表しています。
そのため、花は私たちに向くよう正面向きに飾るのが基本です。
③お灯明(おとうみょう)
ろうそくのこと。お灯明はこの世をすべて照らすとされ、この光に従うことで迷いがなくなるとされています。
④お仏飯(飲食:おんじき)
飲食は自分たちの食べている主食をお供えするのが基本です。
香りを召し上がる仏様には、毎朝炊き立てのご飯をお供えするのがいいとされています。
⑤お水
死者は喉が渇くとされており、五供の中でもお水は欠かせない大事なものです。毎朝と、仏壇に向かうたびに替えましょう。
仏教では五供が基本とされていますが、宗派によってお供えするものは異なる(浄土真宗はお水はお供えしないなど)ため、不安な場合はお寺に尋ねると確実です!
また、季節を感じる旬の果物(日持ちのするリンゴなど)や、賞味期限の長い和菓子をお供えするのもいいですね♪
朝のお勤め(お供えをするとき)の正しい順番
では、次にお供えの順番や注意点を見ていきましょう。
お供えをするときの順番
- お水(または一番茶)と一緒に、炊き立てのご飯一膳目を椀によそってお供えする
- 新しい花をお供えする、または花の水を入れ替える
- そうそくに火を灯してお香(お線香)を焚き、仏壇に手を合わせて感謝を伝える
基本的には、朝の一番にお供えをし、仏様と故人に「おかげさまで今日もおいしいご飯が食べられています。」と感謝を伝えます。
お供えしたご飯は硬くなる前に下げ、家族で食べることで供養になるとされています。
また、お香は燃え尽きるまでそのままにし、ろうそくは火事の危険性があるため朝のお勤めが終わったら消しましょう。
ただし、息を吹きかけてろうそくを消すのはNGです!仏様に穢れ(けがれ)を吹きかけることになってしまうので、必ず手で扇いで消してください。
お供えものを贈るときのマナーや相場は?
それでは、お供えものを贈るときのマナーを覚えていきましょう!
お供えものを贈るタイミングとしては、お盆やお彼岸、法要・法事、ご命日で、故人を偲ぶ想いを込めて贈ります。
お供えとして贈るものはお線香、そうそく、分けやすい個包装のもので日持ちのするお菓子や飲み物、お花が一般的です。
仏壇にお供えしてはいけないもので紹介した五辛などは贈りものとして好ましくないので必ず避けてください!
もし贈りものに迷ったときは、御供物料として五千円程度を包むといいでしょう。
お供えものの箱には、必ず「のし紙」をつけます。双銀の結び切りがいいですね。表書きは「御供」「粗供養」とし、下には自分の名前をフルネームで書きます。
お供えものを贈るときは必ず両手で渡してください。また、自分で仏壇に直接お供えするのはNGです。
お供えものを贈るときの相場は一般的に3,000円~5,000円。親族や特に親しい友人には5,000円~10,000円が相場とされています。
故人との関係性に合わせて贈りものの金額を設定しましょう。
仏壇にお供えしてはいけないものでも故人の好きなものならOK
仏壇にお供えしてはいけないものを挙げましたが、現在ではお供えもののルールやマナーが昔より少し緩和されてきています。
故人の大好きだったバラをお供えしてあげたい、故人の好きだった魚や肉をお供えしてあげたい…関係性の深かった方なら尚更、そう思いますよね。
私も小さい頃に大好きだった祖母を亡くし、思い出のお菓子をボンボン仏壇に乗せていた記憶があります。しかも「半分こ!」と言って食べかけを(笑)
いつの間にか消えているので「おばあちゃんが食べてくれたんだ!」と思っていましたが、きっと私の母親が下げてこっそり食べていたのでしょう。
仏教の教えを守り仏壇を大切にすることは重要ですが、現在では故人を想い偲ぶ心がもっとも大切とされているのです。
お盆やお彼岸など特別な日には、たとえ仏壇にお供えしてはいけないものだったとしても故人の好きだった食べ物やお花をお供えしてあげましょう。
ただし、やはり肉類や魚類、日持ちのしないお菓子や果物は腐りやすく臭いも放つため、朝のお勤め時にお供えをしたら、お昼頃には下げるのがいいですね。
仏壇にお供えしてはいけないものとして挙げた香りの強いお花も同様に、一日だけ、数時間だけと決めてお供えをしてあげると故人もきっと喜びますよ♪
お供えものは下膳したら食べてもいいの?
お供えものは、仏壇から下げた後は家族で食べましょう。これを「仏様のお下がりをいただく」と言います。
お供えものは「おかげさまで今日もおいしいご飯が食べられています。」と仏様に感謝を伝えるものでもあり、それを廃棄してしまうのは罰当たりとされているのです。
食べられるものは食べ、お線香やろうそくをお供えものとして贈っていただいたときには最後まで仏様のために使い切るのがマナーとされています。
法事などで集まるときにお供えものとして贈るのは個包装のお菓子がいいとされるのは、みんなに分けやすく食べきりやすいからですね。
まとめ
- 仏壇にお供えしてはいけないものは肉類や魚類&臭いの強いもの(五辛)
- 仏壇にお供えしてはいけないものの一つとして香りの強い花、トゲや毒のある花も避ける
- 仏壇には五供(お香、お花、お灯明、飲食、お水)をお供えする
- お供えものを贈るときの相場は関係性により3,000円~最大10,000円程度
- お盆やお彼岸など特別な日には、仏壇にお供えしてはいけないものだったとしても故人の好きだったものをお供えしてあげよう
- 仏壇から下げたものは感謝を込めて食べる
宗派やお寺によってお供えもののルールが違うので、心配であれば事前にお寺へ訪ねてみてくださいね!
色々とお話をしてきましたが、一番大切なのは故人を想い偲ぶ心です。感謝を込めて、毎日お供えものをしましょう。