老後は現役時代には出来なかった事を楽しみたいといろいろ考え、その1つに住み替えを計画している人もいるでしょう。
しかし、老後の住み替えに潜む恐ろしい罠を知らないと取返しのつかないことになります。
例えば資金が足りなくなる、馴染めない、要介護状態になって再度の住み替えが必要になるなどが考えられます。
しかし、準備をしておけば避けられる罠もあるのです。
この記事では老後の住み替えに潜む恐ろしい罠について具体的にご紹介すると共に、それらを回避して幸せな老後ライフを送るヒントをお伝えします。
Contents
老後の住み替えに潜む恐ろしい罠とは!?あり得ること3選
老後に限らず住み替えというのは必ずしも成功するとは限りません。しかし、出来るなら失敗は避けたいものですよね。
ここでは、老後の住み替えに潜む恐ろしい罠についてご紹介します。
是非、参考になさってくださいね。
資金がショートする
老後の住み替えに潜む恐ろしい罠はなんといっても資金のショートです。
「私は充分に準備しているから大丈夫!」
そんな声も聞こえてきそうですが、老後の住み替えを考える理由は人それぞれです。
長年働いて退職金と現在の住居の売却金をもとに第二の人生を謳歌したいと考えているあなた。
きっと、年収も平均より多くすでにそれなりの貯金も蓄えておられるでしょう。
いわゆる「勝ち組」のあなた。そう、勝ち組の方こそ恐ろしい罠にはまるリスクが高いのです。
現役時代に平均年収より多く稼いでいたあなたは生活水準も高いはずです。便利な家電製品、質の良い服、旅行、外食等を楽しんで来られたのではないでしょうか?
しかし、退職後の老後の生活というのは多くの人が年金と預貯金を切り崩しながらの生活ということになります。
令和3年の厚生年金の平均受給額は14万6千円というデータがあります。
どうでしょうか?現役時代の半分以下という人も多いのではないでしょうか?
この年金と預貯金で生活していくのですから、現役時代と同じ生活水準ではすぐに老後破産してしまうのです。
また、今は元気でもいずれは心身共に衰えてきます。そうです、要介護状態になる可能性が高いのです。
出典:更生労働省e-ヘルスネット 著者 佐藤 俊彦
健康寿命とはWHO(世界保健機構)が提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間をいいます。
更生労働省発表の資料によりますと、日本人の平均寿命は以下の通りです。
2019年(令和元年)
- 日本人の平均寿命は男性81.41才、女性 87.45才
- 日本人の健康寿命は男性72.68才、女性 75.38才
平均寿命から健康寿命をひくと女性においては10才以上です。つまり、この期間は寝たきりや認知症など何らかの要介護状態にあるということです。
また、要介護状態までではなくとも年を重ねると病気のリスクは高くなるものです。
いくら医療保険・介護保険制度が整備されているとはいえ、高齢者の自己負担も0では無いのです。
また、病院や介護施設に通うときには交通費もかかるかもしれませんし、待ち時間にはちょっとコーヒーを飲んだりすることもあるでしょう。
そうすると交通費と飲食代で1人1回につき千円以上の出費になるかもしれません。
稼いでいる現役時代には気にならなかったような小さな出費も年金収入がメインの老後にはなかなかの打撃になるのです。
その他、現役時代には都会でバリバリ働いていたので老後は少し田舎でスローライフと考えておられる方も多いでしょう。
私も現在40代後半ですが、将来は田舎で縁側のある平屋で家庭菜園なんかしながらスローライフをしたい、と夢を見ています。
しかし、田舎の生活って意外とお金がかかるらしいんです。
先日、2年間、北海道で暮らしていたという50代女性が「マンションで一人暮らしなのに冬場のガス代が2万円超えてたのよ」と話してくれました。
そうです。田舎暮らしは意外に光熱水費がかかるんです。
北海道に限らず、田舎の戸建てだと都会のマンションより断熱性能が低く結果、光熱水費が高くつく。プロパンガスは都市ガスより高い、なども考えられますね。
その他にも電車やバスの便が悪く高い。ネットで買い物すると送料が他より高い地域もありそうですね。
馴染めない
老後の住み替え先として、地方移住を考える人も多いでしょう。
しかし、見知らぬ地方に移住してそこでうまく人間関係を築いていけるとは限りません。
そうです、「よそ者」扱いされる可能性も0では無いのです。正直、これは住んでみないと分からないですね。
人間の欲求として、「生理的な欲求」「安全への欲求」「所属欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」というマズローの欲求5段階説があります。
詳細はここでは割愛しますが、老後の住み替えが完了するということは「自己実現の欲求」が満たされた状態ともいえます。
では、ここで欲求がすべて満たされて幸せに満ち溢れているのか、というとそうでもないのです。実はもう一つ「自己超越欲求」というのがあるんです。
「自己超越欲求」とは、他者に喜んでもらいたい、社会をより良いものにしたい、など自分のエゴを超えて他社や社会のことを想う欲求のことです。
例えば、ボランティア活動を通して社会貢献するなどです。
老後の住み替え先で地域住民に馴染めないとき、このような「自己超越欲求」を満たすことは難しいですよね。
私は最近、某役所でアルバイトを始めたんですけど、1日8時間、やることが本当に無くて暇なんです。
そして、だんだん「自分は何してるんやろう?必要とされてないな」と思い悩んでくるんです。本当です。
人間はいくつになっても人と関わって生きていくものだと思うんです。
ですから、老後の住み替え先で人間関係が築けない、必要とされてる実感が無いというのは大変な罠ですよね。
ほかには、住み替え先が現在の地域から遠くなると、方言の違いや食べ物の味つけの違いなんかにも戸惑うことがあるかもしれません。
たまにカップ麺でも食べたい気分になるときはありませんか。
買い置きしておいた「日清食品 どん兵衛 きつねうどん」に熱湯を注いで5分。「あれっ、なんか違う」ということになるんです。
「日清食品 どん兵衛 きつねうどん」は関西、関東、北海道で出汁の味が違うそうです。
一般に関東は濃い口、関西は薄口などと考えられるようですね。
しかし味付けは本当に地域によっていろいろですから、長年慣れ親しんだ味が場合によっては食べられなくなる可能性もあるのです。
美味しいものを食べるのが老後の楽しみの一つなのに、好みの味がなかなか食べれないとなるのはつらいですよね。
賃貸住宅を契約することが難しい
老後の住み替え先として持ち家か賃貸かを迷っておられる方もおられるでしょう。
賃貸であれば修繕費などはオーナー負担ですから、住居費は月づきの家賃と管理費だけで済みます。
新しい地域にまずはお試しとして賃貸暮らしを考える人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、高齢者が賃貸住宅を契約することは難しいのです。
家賃の滞納だけではありません。
火の不始末による火災や風呂、洗濯機からの水漏れ、そして孤独死などのリスクを危惧して高齢者に対して貸したがらない家主も多いのが実情です。
その他の罠いろいろ
他にも老後の住み替えに潜む恐ろしい罠はいろいろあります。
先日、整骨院に行ったときのことなんですが、30代の男性施術師がこんな話をしてくれました。
「ゴールデンウイークに60代の親が所有する北軽井沢の別荘に遊びに行ってとてもリラックスできて良かったけど、別荘は早めに処分して欲しいですね」
どうやら、税金もかかるのでその別荘を相続する気は無いらしいのです。「淡路島なら考える」と。関西在住のその男性にとっては北軽井沢は遠いんです。
あなたが老後に購入した持ち家は将来、あなたの子どもにとって重荷になる可能性があるんです。
サービス付きの高級マンションを購入して日々、ホテルのような優雅な暮らしをしていた。
しかし、そのマンションの運営会社が倒産して当初のようなサービスが受けられなくなってしまった。
もう引っ越す費用が無いなんてことも実際にあります。
引っ越す時に荷物の整理や不要品の処分が大変という現実的な罠もあります。
老後の住み替えは夫婦二人で、今より少しコンパクトな住居に住み替えを考えておられる方も多いでしょう。
大型の家具や電化製品、古い衣類、食器類などかなりの物を処分しなければなりませんが、人によっては思い出のつまった物を処分する事が難しいかもしれません。
老後の住み替えに潜む恐ろしい罠に高齢者が注意すること
老後の住み替えに潜む恐ろしい罠について書いてきました。
ここではもう少し詳しく老後の住み替えに潜む恐ろしい罠に高齢者が注意することについて書いていきたいと思います。
高齢者に限らず一般的に住み替えを考えるとき、費用・場所・間取りについては当然のこと、その他の条件についてもいろいろ考えますよね。
住み替えの時に考える条件
・駅・バス停からの距離
・マンションか戸建てか
・ペット飼育可能かどうか
・車の通行が多いか少ないか
・スーパーやコンビニ、銀行、医療機関は近くにあるか
・主要採光の向き
また、もし老後の住み替え先として田舎でゆっくり静かなスローライフを考えておられるなら、意外かもしれませんが田舎ならではのうるささがあるかもしれません。
カエルや鳥の鳴き声がうるさい、住宅が密接しておらず強風時の風の音が想像以上に大きく恐ろしい、といったこともあります。
また、近くに幼稚園や保育園・学校があるとチャイムの音や子どもたちの声がうるさく感じられるかもしれません。
「少しくらいにぎやかな方が楽しい」
「今までも騒音の中で生活してきたからすぐ慣れる」
そう思われましたでしょうか。
しかし、老後は現役時代以上に住環境の影響を受けるものです。なぜなら、現役時代よりも圧倒的に家で過ごす時間が長いのですから。
老後の住み替えは目的を明確にする
・メリットとデメリットを比較する
私が住んでいる街は海も山もすぐ近くにある政令指定都市でそこそこ便利ですから、ひょっとしたら老後も暮らしやすい街かもしれません。
しかし、山が近いということは坂が多いということです。本当に坂が多いんです。しかも、かなり急で長い坂が多いんです。足腰が強くないと厳しいですね。
また、海が近いということは地震で津波が発生したときや台風で波が高い時の被害が大きいことになります。
デメリットが許容範囲かどうかを判断されて下さい。
・インターネット環境はどうか
現在はもうインターネット無しでの生活は考えられませんね。パソコンやスマホに慣れ親しんで来られたわけですから、老後も必須です。
老後の住み替え先はインターネットがつながりやすいかどうかもしっかり確認されてください。
・住みたい街なのか遊びに行きたい街なのかを見極める
先にも書いた50代女性が
「北海道はたまに遊びに行くにはいいけど、長く住むのは大変ね。」と話してくれました。
もともとが関西育ちの彼女にとっては寒い地域は難しかったということなのでしょう。
あなたが、老後の住み替え先として地方移住を考えておられるなら住みたい街なのか遊びに行きたい街なのかを見極める必要があります。
・老後の住み替え先でやりたい事を明確にする
私の知り合いの50代男性で今まさに老後の住み替え先を探している人がいます。
この男性はDIYが好きで老後の住み替え先の住居をセルフリノベーションするのが夢なんだそうです。
場所は現在の住居から車で2~3時間以内、車3台停めるスペースがあって平屋が良い、と具体的に考えておられます。
あなたはなぜ老後の住み替えを検討しておられますか。
あなたが老後にやりたい事があって住み替えを検討しておられる場合、本当に住み替えが必要ですか。
例えば、老後は畑を耕しながら自分たちが食べる物をまかないたい、とします。
ひょっとしたら引っ越さなくても今の住居の近くに手頃な畑を借りることが出来るかもしれません。
老後の身体の衰えに備えて家をバリアフリーにしたいのなら、ひょっとしたら今の家をリフォームするだけで済ませられるかもしれません。
なぜ老後に住み替えをしたいのかを明確にすることが大事です。
要介護状態になったときにどうするかを考えておく
先にも述べましたが、健康寿命は男性 72.68才です。
その後は要介護状態になる可能性もあります。
もし、あなたが考える老後の住み替え先が要介護状態になっても大丈夫であれば問題は無いのですが、そうでない場合は再度の住み替えが必要になるかもしれません。
いざという時にあなた自身や子どもたちが困らないように予め考えておくことをおすすめします。
例えば、身体の状態に応じた介護施設に入居する、などです。そして、そのための最低限に費用は残しておくと子どもや親族の負担にならないでしょう。
老後の住み替えに潜む恐ろしい罠は資金計画で回避しよう
ここまで老後の住み替えに潜む恐ろしい罠や注意することについて書いてきました。
ひょっとしたら「ネガティブな事ばかり書きやがって~」とご気分を害された方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここまで読んでくださったあなたは、それでも老後の住み替えは諦めないという方だと思います。ご安心ください。
ここでは、老後の住み替えに潜む恐ろしい罠を回避する方法をご紹介します。
老後の住み替えに潜む恐ろし罠は資金計画で回避することが出来ます。
現在の住居は売却するなら合い見積もりをとる
老後の住み替え費用に現在住んでいる家を売ってその費用をあてよう、と考えておられるあなた。
不動産の売却費用は合い見積もりをとることをおすすめします。
ネットでは不動産売却サイトがあり、一括で複数の概算見積もりを知る事が出来ますので売却する際は是非、利用してください。
複数社に見積もると数百万円の違いが出ることもあると思います。
極端に高かったり、低かったりする見積もりよりも平均的な見積もり金額を参考にされると良いと思います。
しかし、これはあくまでも概算見積もりです。実際の見積もりはさらに、地元の不動産業者複数に依頼してみることをおすすめします。
なぜなら、地元の不動産業者の方があなたの不動産の資産価値や需要、どうすれば次の人に売れるかをよく把握しているのです。
ですから、より高く売却出来る可能性があるのです。
住み替え先の住居をリフォームする場合も合い見積もりをとる
もし、住み替え先が持ち家でリフォームするならだいたいの広さや間取りから概算見積もりをしておくとよいです。
そうすれば、まったくリフォーム費用は想像もつかないから予算が組めないという事態は避けられます。
ここでの注意点ですが、広さや間取りだけでは分からない罠があります。
それは、場所によっては工事車両が入れない、停められない、あるいは資材の運搬費用が高いなどといった事情により費用が多くかかることもあります。
あるいは考えているリフォームが出来ない場合もある、ということです。
実際にそういう事態になった場合はプランを変更する気持ちで見積もりをしてみるとよいと思います。
そして実際に住み替え先が決定したら、やはりその地元の業者さんで合い見積もりをとるとより具体的に予算が立てれると思います。
リフォームでの罠は、あれもやりたい、これもやりたい、と欲張ってしまい費用がかさんでしまうことです。
そうならないためには、まず、絶対に外せない条件からリストアップしてみるとよいと思います。
例えば、バリアフリーは絶対、水回りの設備は新調するなどです。
私は親族が所有する賃貸物件のリフォームをする事があるのですが、必ず合い見積もりを3社程度とります。
そして、その見積もり費用の中で抑えることができる事が無いかを考えます。
例えば、壁紙の張替えはしないでクリーニングだけにする、あるいはペンキを自分で塗る、廃材は自分で処分するなどするとかなりの費用が抑えられます。
もし、あなたがリフォーム費用を抑えたいならば、このようなDIYも考えてみられるのもいいかもしれませんね。
DIYそのものが老後の楽しみになるかもしれませんし、何よりも新しい住居に対して愛着が沸きますよ。
老後も年金以外の収入を得る
冒頭で老後は年金と預貯金を切り崩して生活していく方が多いと書きましたが、もし、老後も収入を得られるのなら収入を得ませんか。
今は在宅でもPCで稼げる時代です。人間は年齢とともに肉体は衰えますが、経験は錆びません。
あなたがこれまで生きてきた経験が仕事になる可能性だってあるんです。
例えば、インターネット上で記事を投稿するWebライターや悩み相談などは老後でも可能ですね。
また、電気工事が出来る、木工事が出来る、という職人さんは週に数回アルバイトしたり、あるいは依頼があったときだけ働くということも出来るかもしれません。
その他には無理の無い範囲での投資もおすすめします。NISA、株式、投資信託、FX等いろいろありインターネットなどにより情報も入手しやすいです。
先に述べた私の親族のように家賃収入というのもいいですね。
もちろん、投資にはリスクがつきものですから、リスクを許容出来る範囲でお願いしますね。
どんなに注意しても老後の住み替えに潜む罠にはまってしまうことがあるかもしれません。
「人生お金がすべて」ではありませんが、「お金で解決出来ることが多い」のも事実です。
そのためには、余裕を持った資金計画を立てることは絶対です。余裕を持った資金計画を立てるためには資金そのものも準備と同時に費用を抑える工夫が必要です。
最近、ネットで「金持ちは節約上手」「資産家は無駄金は使わない」って記事を見かけることがあります。
ひょっとしたら老後の生活で節約することに対して貧乏みたいで嫌だとか悪い印象を持たれているかもしれませんね。
「金持ちは節約上手」「資産家は無駄金は使わない」って考えてみられてはどうでしょうか。
まとめ
・老後の住み替えは資金がショートする可能性がある
・老後の住み替えは馴染めない可能性がある
・老後の住み替えは賃貸住宅を契約することが難しい
・老後の住み替えの時に考える条件に注意する
・老後の住み替えは目的を明確にする
・要介護状態になったときにどうするかを考えておく
・現在の住居は売却するなら合い見積もりをとる
・住み替え先の住居をリフォームする場合も合い見積もりをとる
・老後も年金以外の収入を得る
いかかでしたでしょうか。
住み替えというのは大きな買物で失敗は避けたいもの。老後の住み替えとなると尚更そうですよね。
老後の住み替えに潜む恐ろしい罠について述べてきましたが、まず罠を知れば回避できるというものです。
私も老後の生活を考えて在宅で出来る仕事や、体力に頼らない仕事にシフトしつつあります。
また、老後は少し静かで野菜が美味しい田舎で過ごしたいと考えています。老後の住み替えの準備は体力や気力のあるうちから進めるの得策です。
この記事が老後の住み替えを考えておられる方の参考になると幸いです。