リチウムイオン電池を復活させるために冷凍すると、機械の故障や、発火、爆発の危険性があります。
リチウムイオン電池が使えなくなった場合は、新しいものに取り替えるのが通常の方法です。
しかし、機械は壊れていないのに充電ができないといった場合には、なんとかしたいと考えますよね。
完全に壊れた状態でなければ他の方法で復活できるかもしれません。
今回リチウムイオン電池を復活させたいあなたに、復活する可能性がある方法をご紹介します。
冷凍が危険な理由や温めるとどうなるのか、復活できなかったときの捨て方も解説していますよ。
リチウムイオン電池が長持ちする方法もぜひ試してみてくださいね。
モバイルバッテリーのようなリチウムイオン電池製品を選ぶなら、電気用品安全法の認定商品であるPSEマークがあると安心です♪
Contents
リチウムイオン電池復活のために冷凍すると結露で壊れる可能性
リチウムイオン電池を冷凍したら復活した!という記事が見られますが、リチウムイオン電池は濡れると発火する恐れがあります。
そのことを知らずにリチウムイオン電池を冷凍するのは危険ですよ!
リチウムイオン電池を取り扱う前に、注意点を確認しておきましょう。
リチウムイオン電池の注意点
リチウムイオン電池の注意点
- 専用の充電器を正しく使う
- 火のそば、炎天下では充電しない
- 衝撃、分解、加熱、濡らすのはNG
- 高温や膨れ、異臭などの異常に気づいたら使用を中止する
- 高温の場所や機械に入れたまま保管しない
リチウムイオン電池に使用される電解液は、消防法上で第4類第2石油類に分類される危険物です。
これは、他の石油製品やアルコールと同じ区分にあたり、リチウムイオン電池による火災も発生していますよ。
2020年、リチウムイオン電池関連から出火した火災は東京都内で105件
製品用途は、モバイルバッテリー、携帯電話、電気工具、玩具、コードレス掃除機、ノートパソコン
105件のうち49件が誤った使用方法
「充電方法を誤った」「非純正品のものを使用していた」「分解しようとして外部から衝撃を受けた」「誤って穴を開けた」など
出典:東京消防庁ホームページより抜粋
ニュースでモバイルバッテリーに大きな衝撃をあたえる実験を見たことがありますが、壊れた瞬間に火が燃え上がっていて驚きました。
火災はとても怖いですよね。リチウムイオン電池は使用上の注意点を守って、発火することのないようにしましょう!
冷凍すると復活した例もある
充電できなくなったノートパソコンや、バッテリーを密閉袋に入れて半日〜1日ほど冷凍庫に入れることで、実際に復活したという例はあります。
リチウムイオン電池は濡れると、発火、爆発の恐れがあります!!
リチウムイオン電池は、水に濡れると故障や発火の恐れがあるので、ビニールの密閉袋に入れることが最低条件です。
しかし、この方法はおすすめすることができません。
濡れないようにしていても、冷凍庫や密閉袋の状態によっては結露をおこして濡れてしまいます。
もしリチウムイオン電池が無事でも、冷凍することでパソコンやバッテリーなどの機械の部品が壊れてしまう可能性もありますよ。
以上の理由で、試すならば最後にお伝えする別の方法をおすすめしたいです。
では、使えなくなったリチウムイオン電池が復活するのはなぜなのでしょうか?
まずリチウムイオン電池が使えなくなる理由を見ていきましょう。
リチウムイオン電池が使えなくなる理由
使えなくなる理由
【①過放電による安全装置の作動】復活の可能性あり
充電がなくなったあと待機電力を使うために過放電状態になることを防ぐため、安全装置が作動して使えなくなった状態
【②劣化による寿命】復活の可能性はわずか、本格的には無理
リチウムイオン電池の寿命は約2~3年
【③深放電による腐食】復活は無理
過放電で安全装置が働いたあと充電しない状態が続き、過放電によって電極が腐食している状態
リチウムイオン電池は、充電がなくなった状態でも待機電力を必要とするため、無理をして放電します。【過放電】
過放電が続くと、電池の負極の金属が溶けて劣化、腐食してしまうのです。【深放電】
リチウムイオン電池は、深放電の状態で充電すると発火する恐れがあるため、その前に放電を止めるための安全装置が働くようになっていますよ。
①の安全装置が働いている状態では、充電をすることができませんが、安全装置をなんとかして解除することで復活する可能性は残っています。
②寿命や③故障では復活させることはできません。
見極めるのは難しいですが、購入してから時間が経っている場合は寿命の可能性が高く、リチウムイオン電池が膨らんでいるときは危険信号ですよ!
リチウムイオン電池復活のために温めると寿命が縮まる可能性
電池を温めると一時的に容量が増える
充電がなくなったり、なくなりそうになったりしているリチウムイオン電池を布でこすって温めると、一時的に充電が復活することがあります。
リチウムイオン電池の温度を急上昇させると発火の恐れがあるので、布でこする程度にとどめてくださいね!!
なぜ温めると充電が復活するかと言うと、リチウムイオン電池は気温が低い条件より、気温が高い条件の方が出せるエネルギー量が多くなるからです。
スマホや電動自転車のバッテリーなどで、寒い日は充電の減りが早いと感じたことはありませんか?
実際に、リチウムイオン電池は冷えていると本来の力を出し切ることができず、残量が25%ほど残っていても0%となることがあります。
これは、冷えることによって電池内の抵抗が高くなることが原因です。
温度が戻ると電池の容量も元に戻りますので、壊れているわけではありません。
逆に25℃以上になると、性能以上の力が出せるため、充電が復活することがあるのです。
これは、充電容量が一時的にほんの少し復活するということです。
リチウムイオン電池の耐性温度は、-20℃~60℃で、充電、使用するときの温度は0℃~45℃(35℃の製品もある)といわれています。
この温度はいくつかの製品を調べた結果ですが、製品によって前後するので説明書で確認してくださいね!
リチウムイオン電池を温めると寿命が縮む理由
リチウムイオン電池を温めると、性能を越えて働かせてしまうことになるので、電池の寿命をかなり縮めてしまいますよ。
リチウムイオン電池は、温度が高い条件下ほど化学反応が盛んに起こり、劣化が早くなるという特徴があります。
一時的に復活しても、長い目で見ると劣化が進んでしまうとなると、むやみに温めるのは控えたいですね。
温度が高い条件で劣化するというところから、冷凍するという方法が出てきたのでしょうね。
高温になったときに冷やすというのは正解です!
しかし、急激に冷やすと結露するので、涼しい場所に置いて自然に冷やすことが理想ですよ。
本体が熱くなっているときは、電源を切ってしばらく涼しい場所で休ませてあげましょう。
リチウムイオン電池を復活させる方法と長持ちのコツ
充電できないリチウムイオン電池を復活させる方法
復活させる方法
- 機械の電源を切り、数時間充電する
- 長時間連続で充電する(1日以上)
- 強制停止するまで充電することを何度も繰り返す
深放電を起こしている場合や、ショートを起こすと、発火する恐れがあるため、よく観察しながら充電し、熱くなる場合はすぐに充電を中止しましょう!
先ほど説明したとおり、リチウムイオン電池が復活する可能性があるのは、過放電で安全装置が働いた状態のときです。
安全装置を解除することで、電池を復活させようという考えですよ。
以上のように、充電を繰り返したり、長時間充電したりするという方法で、安全装置が解除される可能性があります。
この方法も十分に注意が必要で、とくに純正品でないものは、試さない方が安心です。
リチウムイオン電池を長持ちさせる方法
リチウムイオン電池を復活させる方法をご紹介してきましたが、これからリチウムイオン電池を長持ちさせる方法をご紹介します。
長持ちさせる方法
- 高温下に置かない
- 使用する電池残量の範囲の幅を小さくする(残量は少なめが長持ちによい)
【1.高温下に置かない】
リチウムイオン電池を温めると寿命が縮まるという説明通り、リチウムイオン電池は熱に弱く、劣化をすすめてしまいます。
使用するとき、充電するとき、保管するときと、すべての場合でなるべく涼しい場所を選びましょう。
【2.使用する電池残量の幅を小さくする】
上の図のように、リチウムイオン電池は充電容量が多すぎるとパワーをたくさん使い、少なすぎるとパワー不足で無理をしてしまいます。
だいたい25%前後~75%前後の範囲で繰り返して使用する方が長持ちすることが実験で検証されていますよ。
充電容量が100%になる方がよいと思っていたので、少なめの容量を持続する方が長持ちするというのは意外でした。
なんだか人間と似ていませんか?常に全力だとそのうちバテてしまい、パワー不足が続くのもつらいですよね。
しかし充電池の場合は、容量が残った状態で継ぎ足し充電をしないほうがよいというイメージはありませんか?
メモリー効果といって、容量が残っているのに充電すると「充電がなくなった」と間違えて認識してしまうという現象があります。
リチウムイオン電池ではこのメモリー効果は発生しないので、継ぎ足し充電をしても、容量が減ったり劣化したりする心配はありませんよ♪
細かくいうと、継ぎ足し充電をしても大丈夫ですが、10%しか減っていないのに充電を繰り返すよりは、50%前後の充電を目安にした方が長持ちします。
復活できなかったリチウムイオン電池を捨てる方法
リチウムイオン電池は、発火による火災の危険性があるため、通常の燃えないごみとして捨てることはできません。
家電量販店やホームセンター、大型のスーパーなどに設置されているリサイクルBOXに入れましょう。
そのとき、発火を防ぐため、電極にテープを貼っておくことが推奨されていますよ。
リチウムイオン電池内蔵の機械の場合は、リチウムイオン電池を取り外さずに、取扱説明書の指示に従いましょう。
燃えないごみに紛れたリチウムイオン電池製品を原因とする火災や発煙は、2020年度、1万1174件あったと環境省から報告されています。
これはとても危険ですね。捨てるときには上記の方法を守りましょう!
リチウムイオン電池が復活できなかったという場合は、もう寿命がきているか、故障していることが考えられます。
残念ですが、上記の方法で処分して新しいものに交換しましょう。
まとめ
- リチウムイオン電池を冷凍したら復活したという例はあるが、危険な可能性がありおすすめできない
- リチウムイオン電池の冷凍が危険な理由は、結露を起こして濡れると発火のおそれがあるから
- リチウムイオン電池を温めると一時的に少し充電が復活することがあるが、寿命を縮めることになる
- リチウムイオン電池を復活させるには、長時間充電を続けるか、何度も充電を繰り返すという方法がある
- リチウムイオン電池が完全に壊れているときには、冷凍や他の方法でも復活は不可能で、充電すること自体が危険
- リチウムイオン電池を捨てるときは電極にテープを貼ってリサイクルBOXに入れる
- リチウムイオン電池を長持ちさせるポイントは、高温下に置かないことと、充電する電池残量の幅を50%前後にすること
リチウムイオン電池には元々寿命があるので、使えなくなった場合は、新しいものに交換するのが通常の方法です。
しかしまだ使えそうだ、なんとかしたい!という場合は、くれぐれも危険のないように注意しながら、最後にご紹介した方法を試してみてください。
リチウムイオン電池は扱い方によっては発火や爆発、火災といった恐ろしいことが起こる可能性のある電池だということを忘れないでくださいね!!