流行の服にはない柄や模様、オリジナリティのある組み合わせが楽しめる着物。
そんな着物を普段着にするのは、決しておかしい事ではありませんよ!
事実、SNSでも普段着として着物を楽しむ若い世代が増えています。
かくいう私も、着物の魅力にどっぷりとはまった「着物沼」の住人で、外へ食事に行く時には着物で出かける事も。
「この着物にどの帯を合わせようかな」と考える時間はまさに至福の時です。
そんな気持ちをよそに、周りの反応は実に様々で、おかしい人を見るような好奇の目線を感じる事すらあります。
この記事では、実際に普段着として着物を着た時の周りの反応を紹介、またその時の心構えについても提案しますよ♪
周りの「おかしい」なんて気にしない!毎日でも着たくなる着物の魅力が満載です!
Contents
着物が普段着はおかしい?周りの反応を気にしない!
着物を普段着にした時の周りの反応
着物を普段着として着ることは、おかしい事ではありません。ご存知の通り、日本人はもともと着物で生活をしてきた文化があります。
ところが、私が実際に普段着として着物を着た時の、周りの反応は次のようなものでした。
今日、何か特別な用事があるの?
実は、ほとんどがこの質問です。着物は特別な日に着る、特別な衣装。そのイメージが根強いという事ですね。
しかし、ほとんどが好意的に見てくれていて、「何もないよ!着たかっただけだよ!」と答えれば、「そっか!素敵だね!」と受け入れてくれます。
普段着にするなんて、着物汚さない?苦しくないの?
これは一瞬、返答にためらいますね。おかしい人だと思われているかもしれないとこちらも身構えます。
恐らく、着物は高価なものばかりで、汚してはいけないという思いからの発言でしょう。
もしくは、「着付けは苦しく動きを制限される」といった、あまり良くないイメージを持っている方だと思われます。
「この着物は普段着用だよ」と話してみても、納得いかない表情をされている場合も多いです。
その着物にその帯は合わないんじゃない?
これは、最近話題の「着物警察」と呼ばれる方々に該当するのではないかと思いますが、少し着物に知識がある方の発言に多いようです。
ひどい場合は、あまり親しくない間柄でもわざわざ声をかけてきて、着物指南をする人もいるとか。
「普段着なので自由に着てます」と話してみても、苦笑い…
確かに着物には、「格」を重視する考え方があります。未婚の女性の場合、一番格が高いものは、成人式などに着る振袖です。
既婚の女性は、5つ紋が入っている黒留袖で、色留袖、訪問着などが続きます。
これらに合わせる帯にも格があり、一筋縄にいかないのも事実です。
しかし、これはフォーマルな装いが必要な場面での事なので、気にする必要はありません。
普段の着物は、自分のセンスで自由に組み合わせれば良い!
ブラウスにスカートを合わせたい人もいれば、パンツを合わせたい人もいます。
だれしも、普段着るものを選ぶ自由があり、周りの人の常識に合わせる必要はないのです。
着物への偏ったイメージが原因の場合も
着物を普段着として着ることを、おかしいを感じる人の理由は、着物に対して偏ったイメージがあるためでしょう。
着物への偏ったイメージ
- 価格が高いから汚したくない
- 動きづらい、苦しい
- 前準備が大変そう
- 着付けを頼まないといけないのが面倒だ
- 洗濯できないし、管理が大変そう
これらのイメージが持つ方は、おそらく一度は着物を着た経験があり、それは成人式や結婚式などのフォーマルな場でしょう。
フォーマルな場で着る着物は、先ほど紹介したいわゆる「格」が高い着物で、振袖、留袖や訪問着などがそれにあたります。
格の高い着物は、豪華な装飾が施され、高価なものが多いです。
また、それらに合わせる袋帯も金銀の糸が織り込まれた豪華絢爛なものが多く、こちらも硬く重さがあります。
久しぶりに着物を着る方なら、緊張感もあいまって心身ともに疲れてしまうことも多いでしょう。
そんな苦い思い出が原因で、着物への偏ったイメージが出来上がってしまうのは、無理がない事かもしれません。
しかし、普段に着る着物は、フォーマルのそれとは素材も着付け方もまるで違うのです。
フォーマル着物 | 普段着の着物 | |
---|---|---|
素材(着物) | 正絹(絹100%) | 麻、木綿、ウール、ポリエステルなど |
帯の種類 | 袋帯、丸帯 | 名古屋帯、半幅帯、兵児帯など |
帯の結び方 | 二重太鼓、変わり結び | 一重太鼓、角だし、貝の口、矢の字など |
着付け方 | タオルなどで補正をしてキッチリとした印象に | 着崩れない程度の補正、快適性を重視 |
ご覧いただくと、普段着の着物がいかに自由度が高いかが、お分かりになると思います。
普段着の着物は洋服と同じ素材のものが多いため、初心者の方にも扱いが簡単です。
また浴衣などで使う半幅帯は、通年使えて軽いことが特徴。
着付けについても、いかに自分が快適に過ごせるかを重視すればよいので、苦しさを感じることはほぼないでしょう♪
実際に私が普段着の着物を着る時、補正はウエストにタオルを一巻きするだけで、その上から半幅帯を結ぶことが多いです。
浴衣のような気軽さで、一日中楽に過ごすことができますよ!
着物を普段着にする場合のメリットとデメリット
着物を普段着として取り入れることで生まれるメリットはどんな点でしょうか。
着物を普段着にするメリット
- 他の人と被らない、自分だけのオシャレができる
- 体型をいかした装いができる
- 母世代、祖母世代の着物(タンスの肥やしになっている着物)を活用できる
- 着付けができるようになり、自分のスキルのひとつになる
では、デメリットをあげるとすれば、どのようなものがあるでしょう。
着物を普段着にするデメリット
- 慣れるまで準備に時間がかかる
- 手入れや保管に手がかかる
- 「おかしいと思われているかも」と周りの視線が気になる
私も着物の取り扱いに慣れるまでは、準備にかなり時間がかかりました。
しかし、経験が増えることで手際もよくなり、今では15分ほどあれば着物が着られます。
たくさん失敗をして試行錯誤したことで、自分なりのやり方ができてきたことも理由の一つです。
手入れについても、この後の普段着に適した着物の種類の中で自宅で洗えるものを中心に紹介します。
ぜひ便利なグッズなども活用して、気楽に挑戦してみてはいかがでしょうか。
自分の「好き」を尊重する!
ここまで、普段着の着物への周りの反応などについて紹介してきました。
着物への偏ったイメージが少しでも改善されれば嬉しいですが、実際外出先の見ず知らずの人に、これらの事をいちいち説明するのは現実的ではありませんね。
結局相手がどう思うか、それは相手次第だという事です。
自分が心地よく過ごせるファッションが着物ならば、堂々と楽しんで普段使いしちゃいましょう♪
着物で普段着に適した種類は?手入れが楽♪がポイント
手入れが楽チン♪普段用着物の種類
普段の着物としておすすめの種類をご紹介します。ポイントは、自宅での洗濯ができるかという事です。
ウールの着物
- 羊毛から作られている
- 保温性が高い
- シワになりにくい
- 盛夏を除く、3シーズン着用できる
- ウールマークの洋服と同様に洗濯できる
麻の着物
- 麻から作られている
- シャリっとした肌触りが特徴である
- 手洗いできる
- しわになりやすい
木綿の着物
- 木綿から作られている
- 丈夫で着心地良い
- 保温性が高い
- 盛夏を除く、3シーズン着用できる
- 洗濯できる
- 若干縮みやすい
最近、普段用として人気が高いデニム着物です。帯も合わせやすいため、初心者の方におすすめ。足袋や草履を個性的なものにしてもよく合いますよ!
ポリエステルの着物
- ポリエステル(化繊)から作られている
- 洗濯機で洗える
- 高品質な化繊は、正絹と遜色ないものもある
こちらは、レースの着物です。少し裾を短く着付けて、ブーツを合わせてもOK♪
素材は、普段着ている洋服と共通していますね。洗濯する場合も「手洗いコース」で脱水はしないなど、細心の注意は必要です。
あくまで水につけても大丈夫な素材という事です。自宅で洗う場合は自己責任で行い、大切な着物は専門の業者さんへ依頼しましょう。
普段着にぴったりの帯と結び方
普段着に合う帯を、3種類ご紹介します。普段着なら、軽い帯や崩れにくい楽な結び方を選ぶことが一番重要です!
普段使いにおすすめの帯
- 名古屋帯 九寸名古屋ともよばれる。略礼装から普段使いまで利用範囲は広い。
- 半幅帯 普通の帯の幅の半分で仕立てられている。浴衣にも用いられる。
- 兵児帯 もとは男性や子供が用いる帯で、浴衣や普段着の着流しに結ぶ。最近は女性用も出てきてファッション性が高い。
フォーマルな装いに必須の結び方「二重太鼓」や「一重太鼓」は帯枕という道具が必要になり、胸辺りに結ぶひもが一本多くなるので、今回は避けましょう。
そこでこちらでは、帯枕を使わないおすすめの帯の結び方を3種類ご紹介します。
まず、一番右側は、名古屋帯で結ぶ「角だし」です。粋な印象で素敵ですよ。
残りの2種類は半幅帯で結ぶ「かるた結び」「貝ノ口」です。
帯がつぶれることを気にせずにしっかり背中を預けることができるので楽に過ごせます。
おすすめの肌着(肌襦袢、長襦袢)
普段着として着物を着るなら、直接肌に触れる長襦袢(ながじゅばん)や肌襦袢(はだじゅばん)も洗濯できるものが必須です。
私がおすすめする長襦袢はこちらです。洗濯機で丸洗いできるだけでなく、半衿がファスナーで取り外し簡単。衿もきれいに決まります♪
汗じみがつきやすい半衿も洗濯できる素材が良いでしょう!
半衿を選ぶ楽しさも!
長襦袢の衿につける「半衿」はオシャレを楽しむポイントの1つです。
帯や小物の色に合わせて半衿をつけかえるのは、上級者の楽しみとも言えます。
簡単に半衿を変えたいなら、こんな便利グッズも♪
着物を普段着にしても変人扱いさせないコツは一つ!
TPOをわきまえる!普段着の着物を控える場所は?
これまで着物を自由にファッションの選択肢の一つとして、普段着に取り入れることをおすすめしてきました。
変人扱いするような、周りからの好奇の目なんて気にせず、自分を表現すればいいのは間違いありませんが、たった一つだけ心に留めておきたい事があります。
それは、TPOをわきまえた装いを忘れないという事です。
フォーマルの場、具体的には結婚式や成人式、ドレスコードがあるレストランなどは、ふさわしい着物(格の高い着物)を着ましょう。
結婚式にTシャツ短パンで出席するような人は、変人と呼ばれてしまうかもしれませんがそんな人はいませんよね。
着物も同じです。自分以外の主役がいる席では、その方への思いやりを第一にしましょう。
そういった心遣いが、着物を普段着にしても変人だと言わせないコツと言えます。
まとめ
- 着物を普段着として着るのは、おかしいことではない
- 着物を普段着にした時の周りのおかしいという反応は、気にしなくていい
- 着るものを選ぶ事は、個人の自由。着物はその選択肢の一つ
- 普段着として着られる着物の種類は多数あり、洗えるかがポイント
- 着物を普段着にした時におかしいと思われないコツは、TPOをわきまえること
着物は特別な日だけでなく、もっと身近な生活に取り込んでいけるものです。周囲の目線を気にする必要はありません。
何でもない日にいつもの場所へ、お気に入りの着物を着て出かけてみましょう!