再建築不可物件の処分は、なかなか買い手がつかず難しいです。
正直、この記事を書くまで再建築不可物件の存在を知りませんでした。

両親から相続者した物件が再建築不可物件だった…
賢く処分したいけど、再建築不可物件だから不安…
この記事を読まれている方の中には、そんな方もいるのではないでしょうか。
私も両親、義両親ともにマイホームに住んでおり、一軒家の相続は他人事ではありません。
この記事では、再建築不可物件についてや、処分方法、リフォームの方法や放置するリスクまで全てご紹介しています。
ぜひ最後まで読んで、再建築不可物件について知識を広めましょう!

この本では、相続全般についてわかりやすく解説されています。
他にも相続関係のお困りごとがある方や、事前に知識を深めたい方におすすめですよ!
Contents
再建築不可物件の処分が難しい理由と売却方法


父から相続した物件が、再建築不可だった…
そもそもなんで再建築不可物件なの?理由を教えて!
どうして再建築不可物件となるのか、その条件をみていきましょう。
再建築不可物件について
再建築不可物件とはなにか、なぜ再建築不可物件になってしまうのか、その理由をご紹介します!
再建築不可物件とは
再建築不可物件とは、今建っている建物を何らかの理由で取り壊しても、新たに物件を建てられない土地のこと。
これには接道義務という、消防車や救急車などの緊急車両がスムーズに消火活動や救助活動を行えるように定められた基準が関係していますよ。
接道義務では、敷地が原則として幅員4m(特定行政庁が幅員6m以上と定めている道路もある)の私道ではない道路に、2m以上接する必要があります。
この基準は、都市計画区域と準都市計画区域内に家を建てるためには守らなければなりません。
都市計画区域や準都市計画区域内に住むのは、人口が少なく、整備がされていなかったり、近くにお店がなかったり、不便なことが多いのです。
日本人の約95%が都市計画区域内に住んでいると言われているので、守る必要があるルールと捉えるほうが良いでしょう。
しかし、再建築不可物件はこの接道義務が守られておらず、このような立地に建っている物件が多いです。
再建築不可物件の例
- 建設基準上の道路と全く接しておらず、私道のみと接している
- 建築基準上の道路と接しているが、幅員4m未満の道路である
- 建築基準上の道路と接している幅が2m未満である

確かに道路が狭かったり、道路に接していなかったり…
緊急車両が入りにくいのは簡単に想像できるわね。
どうしてルールを守らず建っている物件があるのかしら。
なぜこのようなルールが守られていない物件があるのか、気になりますよね。
それは、建築基準法が制定された1950年や、都市計画法が制定された1968年以前に建てた物件が、今も残っていて再建築不可物件になっていることが多いのです。
ルールが定められる前の物件なので、今のルールに当てはまらない物件があるのですね。

今のルールに適していない再建築不可物件…
やはり処分もしにくいのかしら。困ったわね…
再建築不可物件の処分は難しい
では、いよいよ再建築不可物件の処分についてみていきましょう。
やはり再建築不可物件だけあって、冒頭でもお伝えした通り、処分は難しいのが事実です。
では、なぜ処分が難しいのか、さらに具体的に掘り下げていきましょう。
建て替えができない
やはり最大のデメリットは、建て替えができないことです。
今の建物が現段階では住める状況にあったとしても、時が経つと老朽化が進み、住めなくなってしまいます。
その際に、普通の土地であれば建て替えをしたり、住居用の土地として販売したりすることができますが、それが再建築不可物件の場合はできません。
結果として、管理の手間や税金だけがかさみ、赤字の土地になってしまう可能性があります。
住宅ローンが借りられない
再建築不可物件を買いたいという方にも壁が立ちはだかります。
再建築不可物件の購入には、住宅ローンを借りることができないのです。
住宅を買う時には、住宅ローンを組む方が大半ですよね。
それが借りられないとなると、買い手が少なくなり、更に処分しづらくなってしまいます。
さらに担保としての資産価値がとても低い、なども追い討ちをかけ、処分が難しいです。

やっぱり再建築不可物件の処分は難しそう。
どうすれば良いのかしら…
では、そんな処分が難しい再建築不可物件の処分方法についてご紹介します。
再建築不可物件を手放す方法と活用方法
ご紹介する再建築不可物件を手放す方法は3つです。順番に確認していきましょう!
相続放棄する
再建築不可物件を相続する予定の方が使える方法です。
相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。
- 相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認
- 相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄
- 被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認
相続人が,2の相続放棄又は3の限定承認をするには,家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。
引用:裁判所ウェブサイトホームページ
とあるように、全ての権利や義務を一切受け継がない場合にのみ行えます。
また、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所にて手続きが必要なので注意してくださいね。
寄付する
再建築不可物件を含む、不動産は市町村に寄付することができます。
ただし、市町村は公的利用が見込めない場合や維持管理が負担になる場合、寄付を断ることもあるので注意が必要です。
そのような場合は、接地の所有者に寄付をするのも良いでしょう。
願わくば購入して欲しいと思うかもしれませんが、所有するリスクを考えれば寄付をして手放すのも賢い選択です。
ただ、その際に110万円以上の寄付をおこなうと、受け取り側に贈与税が課せられるので注意しましょう。
空き家バンクに登録する
不動産会社に買い手を探してもらってもなかなか買い手がつかない場合、空き家バンクに登録する方法で見つかるケースもあります。
まずは再建築不可物件がある市町村に空き家バンク制度があるのか、確認をして利用を検討しましょう。
使わない物件を活用して、地域の活性化にも貢献できるのも魅力的なポイントですよ。
番外編:賃貸物件として活用する
再建築不可物件が、賃貸として活用できるケースもあります。
なぜなら、賃貸の借主は建て替えを行わないので再建築不可かどうかは関係ないからです。
また、もともと資産価値の低い物件で固定資産税も安いので、家賃も低く設定しても利益を出すことができます。
DIY可能な物件として貸し出せば、リフォーム費用も安く済ませることができますよ。
他の近隣の賃貸物件を視察して、需要がありそうなら不動産会社に相談してみましょう。
賢い処分方法は専門の買取業者に売却
再建築不可物件専門の業者に売却するのが、確実に処分ができて、すぐに現金化もできるおすすめの方法です。
他の大手の不動産会社では断られてしまうこともある再建築不可物件ですが、専門に取り扱う業者なので断られることはありません。
再建築不可物件の取り扱いに慣れているプロの方々なので、安心して任せることができますよ。
また、買取なので仲介手数料や買い手を見つける必要もなく、すぐに現金化できるのも大きいメリットです。
なるべく希望の金額で売却する方法
もともと資産価値が低い再建築不可物件ですが、仲介による売却よりも、業者に直接買い取ってもらう場合の方が安いことが多いです。
しかし、ただでさえ売れにくい再建築物件を、手間なくすぐに現金化できるのはとても嬉しいですよね。
なるべく高い金額で買い取ってもらうためにも、複数の業者に見積もりを依頼し、選定しましょう。
また、セールスマンの対応も見比べて検討し、場合によっては直接交渉することでなるべく希望に近い形で売却することができますよ。
再建築不可物件のリフォームは申請不要の範囲まで!注意点も紹介


再建築不可物件を綺麗にリフォームしたら、今より高く売ることができるかしら。
とっても綺麗になったら、もしかしたら私も住みたくなるかも!
この記事を読んでいるあなたもそんな風に思ったかもしれませんね。
再建築不可物件をリフォームする際には、建築確認申請ができません。
つまり、建築確認申請が必要な増築や改築、移転、その他大規模な修繕、大規模な模様替えなどのリフォームができないのです。
再建築不可物件がリフォームできるのは、次の範囲内です。
再建築不可物件がリフォーム可能な範囲
・防火・準防火地域外での10平方メートル以内の増改築・移転
・2分の1以内の修繕・模様替え
この範囲内でない場合は、建築確認申請が必要なリフォームとなるので注意してください。
また、古い住宅が多い再建築不可物件ですから、予想以上にリフォームの代金がかさむ可能性も考えられます。
本当にそこまでしてリフォームをするべきなのか、検討が必要ですね。
再建築不可物件をどうするか、放置するリスクをご紹介


再建築不可物件、処分も難しいし、リフォームも難しい…
どうするのが正解?
いっそのこと放置しておこうかしら。
扱いづらい再建築不可物件をどうするのか迷った挙句、放置してしまおうと思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、その考えはとても危険です。再建築不可物件を放置するリスクについてご紹介します。
課税軽減措置の対象から除外される可能性がある
先程もお伝えしたように、再建築不可物件は資産価値が低く、固定資産は高くありません。
ですが、再建築不可物件を空き家のまま放置をすることで、自治体から特定空き家に認定され、勧告、命令を受ける可能性があります。
助言や指導後も改善されず、勧告の対象となると固定資産税・都市計画税の課税における住宅用地の課税軽減措置の対象から外され、税金が非常に高くなります。
建物が倒壊する
再建築不可物件は、築年数が古いものが多いです。そのような物件を放置すると、どうなるでしょう。
災害などの影響で建物が倒壊してしまうのは簡単に想像できますよね。
しかし、再建築不可物件は倒壊してしまっても新たに建て直すことはできません。
そうなると、更地として活用するしかなくなり、ますます処分は難しくなるでしょう。
不法投棄や不法侵入される恐れ
再建築不可物件を放置すると、ゴミの不法投棄や、最悪の場合、犯罪者の住処として不法侵入される恐れもあります。
そうなると衛生上も、防犯上もよくありませんよね。周りの住民からも苦情がくる可能性もあります。
また、放置した物件が防火されて火災が起き、周りの住宅を巻き込む恐れもあります。
そうなると、再建築不可物件は緊急車両が入りにくく、消化活動が遅れ、あっという間に辺りは火の海になってしまう可能性もあるのです。
損害賠償を請求される
再建築不可物件を放置し、倒壊したことで周りの住宅や住人などに被害が及んだ場合、損害賠償を請求される恐れがあります。
損害賠償請求が認められると、物件を放置したばかりに、大金を失うことになるのです。
そういったリスクを踏まえて、再建築不可物件をどうするべきなのか、しっかり検討しましょう。
まとめ

- 再建築不可物件の処分は、買い手がつきにくく難しい
- 再建築不可物件の処分が難しい理由は、建て直しができない、住宅ローンが借りられない、などの理由がある
- 再建築不可物件の処分方法は、財産放棄などの手段もあるが、1番は再建築不可物件専門の買取業者に買い取ってもらうのがおすすめ
- 再建築不可物件は、需要があれば賃貸物件として貸し出すこともできる
- 再建築不可物件のリフォームは、建築確認申請が不必要な範囲まで
- 建築確認申請が不必要な範囲では、増築や大規模な修繕はできない
- 再建築不可物件は、古い場合が多いので、リフォーム費用もかさむことも多い
- 再建築不可物件を放置することで、建物の倒壊や火災などのリスクが伴う
- 放置をすると近隣住民からの苦情や倒壊し、近隣に被害が出ると損害賠償を請求される危険性もあるので、早めの処分がおすすめ
再建築不可物件の処分は、専門の業者にお任せするのが1番だということがわかりましたね。
ただ、その際もすぐに1社だけに絞らず、複数の業者に見積もりを取ることを忘れないでくださいね。
問題を放置せず、早めに処分をしてすっきり問題解決してしまいましょう!