ペーパーカンパニーの維持費は、事業活動を行う会社の維持費に比べたら、はるかに安くすみます。
ペーパーカンパニーの多くは事業活動の実体がなく、税金対策・節税対策として登記上設立されているのです。
ですから、会社を運営するための人件費や材料費などの経費がほとんど必要ありません。最低限の経費のみです。
会社というのは、商品やサービスを提供し、その対価として会社や個人から代金が支払われる、という仕組みを持っています。
ペーパーカンパニーのような実体のない、形式だけの会社は違法ではないのでしょうか?
この記事では、個人事業主である私が、ペーパーカンパニーに必要な維持費や、ペーパーカンパニーのメリット・デメリットなどをご紹介します。
少し難しい内容になりますが、なるべく噛み砕いてお伝えしますね。
Contents
ペーパーカンパニーの維持費は最低限の経費と税金!
ではここで、ペーパーカンパニーについて簡単に説明していきます。
ペーパーカンパニーとは?
ペーパーカンパニーとは、登記上は設立されていますが、事業活動の実体がない会社のことです。
言い換えれば『書類上のみの会社』と表現できるでしょうか。そのため、ダミー会社やゴーストカンパニーなどとも呼ばれます。
ペーパーカンパニー設立を税金対策・節税対策として検討している経営者は増えているようです。
また、増えてきている一例として、社員全員がリモートワークをしており、物理的なオフィスを設ける必要がないケースがあります。
その場合、実際の事業活動はあるので、ペーパーカンパニーとは見なされません。
ペーパーカンパニーは悪用されやすい!?
一方、反社会的組織や犯罪組織などが、普通の会社に見せかけるために設立することもあります。
社長やオーナーには組織に全く関係のない第三者を置き、実質的な支配者や株主は、組織の関係者なのです。
また、カルト宗教団体などの隠れみのとして悪用されることもあります。
勧誘相手から信用を得るために、維持費の少ないペーパーカンパニーを設立するのです。
同時に、今や誰もが利用するようになったネットショップなどもペーパーカンパニーの可能性があります。
ホームページに記載されている住所などが不正確なこともあるので、注意が必要です。
商品を買って代金を支払ったのに商品が届かない、というトラブルに巻き込まれないよう、十分に気をつけましょう。
ペーパーカンパニーの維持費
では、ペーパーカンパニーに必要な維持費についてお伝えします。
法人住民税
法人住民税とは、地方自治体に収める地方税のことです。
法人住民税は『法人税割』と『均等割』で構成されています。
『法人税割』は利益がなければ発生しませんが、『均等割』は所得がなくても発生する税金です。
そのためペーパーカンパニーでも、年間で7万円ほどは均等割として維持費がかかります。
税理士費用
事業活動がなくても、事業年度末には決算と確定申告をしなければなりません。
会社の規模にもよりますが、税理士費用として数万円から、年間契約となれば数十万円ほどの維持費がかかります。
ペーパーカンパニーの維持費で節税効果は大きい!
会計全般や確定申告を税理士に頼ることなく行いたい、もしくは、さらに維持費を安くしたいのであれば、こちらがおすすめです。
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【e-Tax対応】
国税庁が提供しているe-Taxソフトを利用して、ご自宅から気軽に確定申告ができます。電子帳簿保存にも対応。
【インボイス制度対応】
令和5年10月から導入予定のインボイス制度にも更新プログラムで対応予定となるので、長期的に利用できます。
【多彩な機能と多業種対応】
会計ソフトとしての機能が豊富で、個人事業主からフリーランス、兼業経営など、さまざまな業種にも対応しているので安心です。
【サポートサービス】
12ヶ月間は無料で利用できます。サポートセンターへのお問い合わせも、期間内は対応してもらえるので安心ですね。
ペーパーカンパニーの節税対策
法人税や事業税
ペーパーカンパニー設立の最大のメリットは節税ができることです。会社の利益を分散させることで税金対策となり、法人税や事業税の納税額を減額できます。
別会社を新たに設立するとなると、それなりの時間と手間、費用がかかりますね。
ペーパーカンパニーは簡単に作れる上、費用もそれほどかからないので節税対策としての設立を考える経営者も少なくないでしょう。
株式会社や合同会社であれば、登記書類作成や印紙などの初期費用もかかります。
個人事業主の場合は、管轄の税務署に開業届を提出するのみで、特に費用はかかりません。
消費税
消費税の納税額も減らすことができますよ。課税売上高が1,000万円以下なら消費税の納税が不要になります。
また、課税売上高が5,000万円以下の中小事業者も、簡易課税制度の適用対象となりますので、売上を分散させることで免税も可能なのです。
ただ、海外子会社がペーパーカンパニーだった場合は話は別ですよ。
タックスヘイブン対策税制により、海外子会社の利益は日本の親会社の利益との合算になりますので、日本の課税対象となります。
その他の節税
その他にも、ペーパーカンパニーを設立することで交際費・接待飲食費の増額が可能です。
また、土地売却の損額と合算して利益ゼロとして計上することで節税が可能になります。維持費を抑えながら、かなりの節税ができそうですね。
ペーパーカンパニーは維持費は安いが違法性は高い!
ペーパーカンパニーは維持費は安く便利ですが、法の目をかいくぐるグレーゾーンであるため、違法や脱税とみなされるリスクは高くなります。
維持費を抑えて大きく節税できることは魅力的ですので、経営者なら節税対策の1つとして検討したいところでしょう。
ただ過去には、ペーパーカンパニー設立の結果、違法とみなされ、大企業が多額の追徴課税を徴収された例がいくつもあります。
上記にも出てきた、タックスヘイブン対策税制は年々改正されており、ペーパーカンパニー判定の基準も変わってきているのです。
今後、判定基準が変わったり厳しくなったりすることも考えられるので、税制改正により違法とみなされる可能性がさらに高くなるでしょう。
このことから『ペーパーカンパニーを設立するリスクは大!』と言えるのではないでしょうか。
維持費を抑えつつ節税する方法は他にもありますので、調べてみるのもいいと思います。
まとめ
- ペーパーカンパニーは実体のない『書類上の会社』のことで、ダミー会社やゴーストカンパニーとも呼ばれる
- ペーパーカンパニーは維持費が抑えられるため、反社会的組織や犯罪組織、カルト宗教団体などの隠れみのになりやすい
- ペーパーカンパニーの年間の維持費は法人住民税の7万円程度と税理士費用
- 既存の会社利益をペーパーカンパニーに計上することで、法人税・事業税・消費税、その他の節税が可能
- タックスヘイブン対策税制は年々改正されており、ペーパーカンパニーの違法性やリスクが高まっている
維持費が安くすむペーパーカンパニーは、節税対策として有効ですが、違法性やリスクも高いことがわかりましたね。
会社は人の幸せのためや、社会を良くする存在であるべきです。
会社の利益も大切ですが、健全な経営で社会に貢献してほしいと思います。