NPO法人 環境みらい下関|循環型社会の形成へ市民活動を活発化させよう 


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環境コラム 


2010年3月号

荒れる畑、消える水田

 昨年から、老父母が亡くなり無人となって荒れた我が家で家庭菜園を始めた。樫や椿など剪定した庭木で堆肥づくりをするため、短く切り刻んで米ぬかなど混ぜながら八朔の木の下に山積みにしていた。
 今年の春の菜園準備のため、腐葉土をとるめ鍬を入れた。とたん、あっ!! 白くて大きなイモムシ(カブトムシの幼虫)がごろごろ、次から次へと300匹、今年の夏休みのサマーキッズは子供達の喜ぶ顔が浮かぶ。べつに20匹~30匹を環境みらい館で飼育展示し、残りの堆肥の山は自然のままで保存しようと思う。お陰で菜園の堆肥は別に調達しなければならなくなった。
 これはまさに自然は豊であり、ごみは資源ということになり、落ち葉も枝木ももったいない存在になってきた。それにしても我が家と同様に周辺の田畑の荒れようはひどい有様で、近所の老夫婦は隣接の土地を雑草で管理ができないと言って土建業者にバラスをひいて固めさせてしまった。先代は鯉を飼育していた田んぼだったが、もう、もとの田にも畑にも戻せない。
 また別の土地を地区の自治会長が草を刈り木を切って整備を始めた。聞くと周囲からの苦情があり地主に掛け合ったが相手にしてもらえないため、自治会長自身で整備を始めたそうで、気の毒なため私も地主に掛け合ったら、土地はさし上げますので好きにしてください?との返事。
 しかたなく、仲間を誘って耕し、周囲に水仙、サクランボ4種6本、ビワなどを植え家庭菜園をし、将来は周辺の人々の憩いの場所にすることにした。周辺の田んぼも、黄金色の稲穂ではなくセイタカアワダチソウの黄金色に変わってきた。年に一度、減反政策なのかトラクターを入れる地主もあるが、地主の老齢化は深刻な状況になってきた。
 思えば、隣の地区の広い田園地帯もセイタカアワダチソウならまだ良い方で、土を盛った小山ができたと思ったら、整地をして資材置き場に変わり、別の場所も大きな土盛りで海岸線が見えなくなった場所もある。以前はイネの刈り入れが終わるとすぐ、キャベツ・レタス・白菜などの緑に変わる地帯であったが、爺ちゃん婆ちゃん農業から婆ちゃん農業、不在地主へと変わってきた。
 今、農業政策はどうなっているのだろうか。この深刻さを知ってか知らずか、姿は見えない。
 「里づくりを考えよう」をテーマとする環境みらい下関の「里づくり」政策の活動を、里山の整備から、里地整備へと活動を広げ、里川、里浜、里海などの、環境問題の克服が重要な課題となってきた。この深刻な土地の荒廃を防ぐには、より多くの都市部住民に参加してもらい《里づくり都市》を目指す「環境みらい館」の活動と交流拠点にして、まちづくりを目指していくこととなった。

NPO法人環境みらい下関
事務局長 藤 木 幸 三




2010年2月号

「やまぐち森林づくり県民税」と里づくり

今年5月で法人設立8年目に突入します。参加する会員の創意が活かされ実を結んで、私たちの環境みらい館での活動に手ごたえを感じています。これもみなさんの協力・支援の賜物です。
今、バブル経済が崩壊し、長引く経済不況の中で人々は喘ぎ、日常生活と身近なところで犯罪が多発し、凶悪な事件が起きています。少子高齢化は確実に進行しており、人々は行き先見えない不安を抱いています。
NPO法人が循環型社会の形成を目指し、環境問題を克服する上での重要な指針として「里づくりを考えよう」を一つのテーマとして事業を展開してきました。樹木や草花は、人間が制御しきれない自然にさらされ、荒廃する里山とともに人間の心も荒んできた。
「里づくり」は、里山だけでなく、里地、里川、里浜、里海など周りの自然と身近にかかわるさまざまなケースに適用できます。手入れの行き届いた人間による自然の利用、あるいは、人間の自然へのバランスの取れたかかわり方の作法が、自然の生命力を高めることにつながると考え、平成18年2月に竹林ボランティア「しものせき竹取物語」を結成し「竹林は緑のギャング」を活動テーマとして里づくり事業を進め、実に活き活きと竹林整備や竹細工づくり、竹細工教室に人気が集まっています。
そのような中、この度「やまぐち森林づくり県民税」の見直しが行われ、圧倒的とも言える関係者の賛同を得て、5年間の現行の税制度の継続が決定されました。
公益森林整備事業と竹繁茂防止緊急対策事業を中核とする現行制度に、新たに既事業地での広葉樹の植栽・耕作放棄地での竹繁茂対策・荒廃した海岸林の緑化・荒廃したアカマツ林の再生・自然公園等の植栽等と、森林ボランティア活動に必要な資機材の提供などの項目が新規事業として加わることになりました。
森林づくり県民税制度は、健全な里づくりを目指した「しものせき竹取物語」の活動の目的と共通するものであり、また、志を同じくする多くの人々や団体があることを知りました。
NPO法人の「里づくり」の活動は人づくりと循環型社会の形成とに結びつくはずであり、環境問題を克服する上で重要な指針の一つに違いないと確信し、行政が加わってきたことにより活動に勇気をいただくことになりました。
広域合併成った新しい下関は、都市部と農山漁村地域との交流を密にした、より多くの都市部住民も里づくりにかかわる《里づくり都市》を目指し、「環境みらい館」もそのような《里づくり都市》への交流拠点となれば。

NPO法人環境みらい下関
事務局長 藤 木 幸 三



2010年1月号

「ごみ」という発想を捨てる。~3

 人のごみや分別に対する行動を変えるためには、普通「意識」を変えるように働きかけます。ところが、鈴木さんは「意識」ではなく、「環境」を変えることで、人々の「意識」と「行動」を変えていきました。鈴木さんは、そのために実に様々な取り組みをされましたが、そのなかでも「環境を変えると意識が変わる」という事を象徴する取り組みが、「社内からごみ箱をなくす」というものです。
 社内のごみ資源化を達成するためには、ごみの分別を徹底していかなければなありませんが、ごみ箱があると分別出来ない状態で捨てられてしまいます。鈴木さんは、会議室のごみ箱など普段使わないごみ箱から気付かれないように時間をかけて少しずつ撤去していき、最後には個人も含めた社内のごみ箱を全て取り払ってしまいました。そして、ごみ箱がなくなった代わりに、資源置き場をおもちゃを置くなどして工夫し、楽しく・きれいな空間にすることで、ごみを「ごみ」として置くのではなく、「資源」として分別して置く事を、上から命令しなくても、社員によって自然に行われるように工夫をしていきました。
 もちろん、急にそんな事をしてしまえば、反発は必至ですが、鈴木さんは一人一人とのコミュニケーションを積み重ね、味方になってくれる人を少しずつ増やし、つながりを広げながら実践を進めていき、地道な個人から始まった活動が最終的には上の立場である本社からも認められるようになりました。
 鈴木さんは講演会で、「ごみ」は本来ごみではなく、人々が本来資源として利用できる潜在的可能性をもっているものを、ごみとして扱ってしまう事で、「ごみ」になってしまうことを語られていました。昔の日本ではものが少なかったため、「もの」の価値は高く、ごみとして一度で捨ててしまうのは「もったいない」ため、何度も再生して利用するのが当たり前でした。ところが、高度経済成長で、「もの」があふれかえってしまうと、「もの」の価値に対する意識は下がり、ごみとして一度で捨ててしまう事が当たり前の世の中になってしまいました。私たちは、「ごみ」という現代の発想に縛られて、その「もの」が持つ多様な可能性を見失ってしまうようになりました。鈴木さんの取り組みは、意識を変えるのではなく、環境と人々のつながりを変えることで「もの」が本来ごみではなく、「資源」として甦ることができるという潜在的可能性を、かたちやつながりから働きかけてもらうことで私たちの心に訴えかけているのではないでしょうか。

NPO法人環境みらい下関
会 員  原 田 往 子



2009年12月号

「ごみ」という発想を捨てる。~2

 ごみを減らしていくために、最近ではレジ袋の有料化など様々な取り組みが行われています。しかし、単に「ごみを減らしましょう」と呼びかけるだけでは、そもそも、ごみの発生は現代社会のシステムが根底にあるため、資源として循環させていくには別の観点からの取り組みが必要となってきます。
 現在、多くの製品は消費者が「使う」ために作られており、「使い終わった後」のことは考えて作られていません。そのため、ほとんどの製品は上流の「作る」側や「使う」側の発想で作られており、「使い終わった後」それを「資源として再生」する下流の業者の発想は考慮されていません。
 鈴木さんは、ごみを資源として利用するシステムを構築するために、まず、下流のごみを再生する業者の意見を聞き、そうした業者との関係を構築することから始めました。
 ごみを再生する業者にとって必要なことは、とにかく「ごみを分別」してもらうことです。せっかく、資源として利用出来るものでも、それが他のものと混ざっていたり汚れている状態では、それを抽出する事にコストがかかるために、再生が難しくなってしまいます。そのため、利用する側に「ごみの分別」を習慣づけてもらうことが、必要となってくるのですが、普段ごみを分けずにゴミ箱に捨てることが習慣化している状態で、いきなり分別の徹底を義務づけてもそう簡単に理解や協力が得られるわけではありません。まして、当時環境への意識もまだそれほど高くなく、鈴木さんも分別の徹底を他の部署に強制や命令できる立場ではありませんでした。逆にそんな事をすれば、鈴木さんの方が立場が危うくなってしまいます。
 そこで、鈴木さんが取り組んだのは、「分別を自ずとしたくなる環境づくり」でした。普通なら、まず分別をするように人々に呼びかける事を考えます。しかし、その方法だと、上の立場の部署からの反発も少なからずあるでしょうし、全員に徹底することは難しいことです。あくまで分別は、命令をしなくても自ずと行われなければなりません。
 そのために、鈴木さんはそれまで、乱雑で目を背けたくなるようなごみ捨て場を、「きれいで楽しい空間」に変えていきました。もちろん、一気にそのようなことをすれば、反発はさけられません。鈴木さんは、皆に気付かれないよう「一日一センチ」づつ改革を進めていきました。(次号につづく)

NPO法人環境みらい下関
会 員  原 田 往 子



2009年11月号

「ごみ」という発想を捨てる。

10月18日に、環境みらい館のエコフェスタで、「ごみゼロへの挑戦」というテーマで、元松下電器産業・社員の鈴木武さんによる講演会が行われました。
 鈴木さんは、会社であまり恵まれない境遇と待遇で長い間働いていらっしゃいましたが、環境部門への異動(当時は3Kの職場)という転機を生かし、社内のごみの99%資源化を達成するという快挙をなしとげ、退職後の現在では環境プランナー「環境省;容器包装廃棄物排出抑制推進員など(愛称;3R推進マイスター)」としてご活躍されています。今回はその中で、印象深かった内容をご紹介したいと思います。
 循環型社会の実現のためには、ごみを資源として、再利用する社会を構築することが必要です。しかし、私たちはなぜ「ごみ」を出してしまうのか考えることはなく、無意識のうちにごみを捨ててしまいます。
 それでは、ごみを捨てる時にどういう発想で捨てているのでしょうか。講演会では「一つのレンガ」から考えます。
 ここに、一つのレンガがあったとして、(本来一つで使うものではありません)どいういう使い道を思いつきますか。ほとんどの方は0〜5個(70%)、ついで5〜10個(20%)、そして10〜15個が(10%)となるそうです。使い道の発想が少なければ少ないほど「一つのレンガ」は「ごみ」となって捨てられてしまう可能性が高くなってしまいます。そこで、レンガを新たな角度から考えてみましょう。レンガは「ざらざら」しています、あるいは「重い」、「固い」というものの見方を加えていきます、そうすると「ざらざら」しているから砥石やヤスリに使えたり、「重い」から漬け物石に使えたりと、新たな発想が生まれてくるのです。
 こうしたやり方で考えていくと、一つのレンガの使い道が50〜100湧いてくるかもしれません。使い道があれば、「ごみ」とならずにすんでいたかもしれません。
そうです。私たちが「ごみ」を生み出してしまう背景には、本来様々な潜在的な可能性を秘めている「もの」に対して、豊かな発想で向き合えず、単一で狭いものの見方で、「ごみ」というレッテルを張ってしまう考え方の貧しさが隠されているのです。
 ところが、こうしたものの見方というのは、江戸時代ならいざ知らず、大量生産・消費・廃棄の現代社会の主流となっており、皆が共通してもっている概念を覆すのは、容易な事ではありません。
 それでは、鈴木さんはこれに対してどのように取り組んでいったのでしょうか。(次号につづく)

一日一センチの改革―ゴミゼロへの挑戦
NPO法人環境みらい下関
会 員  原 田 往 子



2009年10月号

「環境○○」を《○○環境》と置き換えてみると 4
・・・人間中心主義を乗り越える用語世界

 実は「廃棄物」の法的な定義と区分は結構悩ましい。「廃棄物」は、占有者にとって不要になり、有償で売却することができないものを指します。つまり、不要物であっても原材料として売買される場合は廃棄物とは言わなくなるからややこしい。循環型社会形成推進基本法では、再生するものであれしないものであれ排出される不要物を包括して「廃棄物等」と定義し、そのうちの有用なものを新たに《循環資源》と称して使い始めました。
 でも、再使用・再資源化利用から燃料源まで含めて考えてみると、排出される不要物で、有用でないものはほとんど見当たりません。ですから、廃棄物等はすべて有用なものとしての可能性を持っているゆえに、廃棄物等はほとんど《循環資源》と言い換えられるわけです。自分にとっての不要物を「ごみにする」と判断したとき、他の何者かにとっては「有用物になる可能性がある」と捉えたら、その瞬間に「ごみはごみにあらず」となります。
 環境省は、ややこしさを残してきた「廃棄物」の定義や区分の見直しを進める一環として「循環資源」を考え出したのでしょうか。あるいは、本気になって「廃棄物」という言葉を「廃棄=死語化」して全てのモノを《循環資源》として扱おうとしたのでしょうか。真意のほどはわかりません。しかし、「廃棄物」を《循環資源》と言い換えようとすることには重要な発想転換が含まれている、と意義深く考えることができます。
 「廃棄物」を《循環資源》と言い換えることで、用語世界がどう変わるのか。その違いを理解するために、環境省が普及を試みている用語《環境効率性》と《資源生産性》について考えてみましょう。
《環境効率性》は、環境影響の最小化を図りながら生産価値を最大化しようとする考え方に基づいています。環境負荷をより小さくするためには当然「経済効率性」の向上も必要ですが、「経済効率性のみが意識された場合と、《環境効率性》を高めようとする場合とでは随分考え方が違ってきます。
 また、天然資源の投入量を可能な限り少なくして生産性を向上させることが循環型社会形成の目安になるということから案出され、GDP(国民総生産)を天然資源投入量で割った値を指標化したものが《資源生産性》です。この場合でも単に「モノの生産性」を言う場合に比べると、《資源生産性》では資源そのものの有限性やそれらの再使用やサイリヨウガ相当意識された用語になります。
 以上を並べれば、「廃棄物」→《循環資源》/「経済効率性」→《環境効率性》/単なる「生産性」→《資源生産性》となります。「」の用語と《》の用語とを比べてみます。前者は人間中心主義的な発語の用語です。後者は人間中心主義から脱却した用語、つまり、モノそのものから、環境から、資源そのものから人間に対して発せられた用語になっているのではないでしょうか。後者の新たな用語にはこれまでの人間中心主義からの脱却が込められていると考えられます。このように、環境問題の克服に向かって、私たちの用語環境(=用語世界)を整えていくことは重要なことだと思っているのですが、どうでしょう。

NPO法人環境みらい下関
理事長 坂 本 紘 二



2009年9月号

「環境○○」を《○○環境》と置き換えてみると 3
・・・「廃棄物」を《循環資源》と言い換えることの意義

 環境省が打ち出してきたどんな新用語に驚いてきたのか、まず、驚きを覚えた例の一つとして「統合的な向上」をとりあげましょう。2006年4月に閣議決定された「第3次環境基本計画―環境から拓く新たなゆたかさへの道―」では、今後の環境政策の展開として6つの方向を掲げ、その一つに「環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的な向上」を挙げています。これには感心しました。
 よく環境的側面と経済的側面とは一方を立てれば他方は落ち込む、あるいは、他方にとっての阻害要因になるといった具合に、二律背反的に捉えがちです。その矛盾やジレンマにとらわれてしまうと、手の打ちようがない、どうしようもない感覚に陥ってしまい、環境問題を克服するための行動、いわゆる「環境実践」になかなか向かえなくなります。
 ですから「統合的な向上」という新たな用語には、その二律背反の捉え方や発想によるジレンマを克服し、ある側面だけの向上を求めるのではなく、環境的側面と経済的側面に、人と人の関係のありようを含む社会的側面を加え、三つの側面が一緒になって共に向上することが可能であり、それをこそ求めるべきなのだ、本来の豊かさはそうしてはじめて得られるのだ、といったようなメッセージが込められ、新たな環境実践の方向性が示されているように感じたのでした。
 他に感心させられた主な言葉に「順応的取組」があります。これは、2002年に制定された「自然再生推進法」における自然再生基本方針に盛り込まれた用語、自然再生において踏まえるべき3つの視点の中で打ち出されています。つまり、自然再生は「①地域固有の生物多様性の確保/②地域の多様な主体の参加・連携/③科学的知見に基づく順応的取組」の3つの視点を基本にして進めよ、というのです。
 「順応的取組」とは、自然再生事業(釧路湿原など全国20箇所で進行中)が、複雑で絶えず変化する生態系などの自然環境を相手にする事業ですから、専門的な事前調査を行って事業を行い、着手後も追跡調査して科学的に評価し、場合によってはやり直しをも効かせるという方法です。例えば諫早湾干拓事業のように、一旦決定された事業は後戻りできない扱いがほとんどで、修正もままならず苦悩を強いられる例が多いだけに、試行錯誤のやり直しのプロセスが基本方針として表立って盛り込まれていたのに驚きました。
 以上の二つの他に、重要な用語は恐らく循環型社会形成推進基本法(2000年制定)で定義された「循環資源」でしょう。それを環境省は「廃棄物等のうち有用なものを指す。実態的には『廃棄物等』はすべて有用なものとしての可能性を持っていることから、廃棄物等と同等であるといえる。その発生抑制と循環利用を推進するために考案された概念である」と説明し、どうも「廃棄物」を「循環資源」に置き換えようとしている節があります。
 「統合的な向上」も「順応的取組」も、これまでの考え方や発想を根本から変えよう、乗り越えようという革新的な意図が読み取れました。では「廃棄物」を「循環資源」と言い換えて、これまでの考え方のどこをどのように乗り越えようというのでしょう。

NPO法人環境みらい下関
理事長 坂 本 紘 二



2009年8月号

「環境○○」を《○○環境》と置き換えてみると 2
・・・環境省による「環境用語」の展開

 前回、《技術環境》をはじめとして《教育環境》や《偽装環境》など「環境○○」を《○○環境》と置き換えてみると、意味深い用語になり、それらを使ってみることによって、私たちが置かれている状態(環境)のありようを根本から問い直すきっかけを与えるに違いないと述べました。今回のテーマは「環境用語」です。
 いずれ言わんとするところは、同じようにひっくり返して《用語環境》についてだろう、私たちがどのような用語世界に慣れ親しんでいるかを問いかけようとしているのだろうことは、みなさん容易に想像がつくはずです。そのとおりなのではありますが、そこに行き着く前に、環境省が新たな用語を使い始め普及させようとする度に、私自身が常に幾度も驚かされてきたことについて、今回述べておきたいと思います。
 前回の《技術環境》を発案したのは30年前でしたが、環境省が用いるキーワードに最初に驚かされたのは15年前の1994年でした。私が九州大学の助手を経て下関市立大学に赴任する前年で、丁度満50の節目の年でしたからよく覚えています。
 環境省(当時は環境庁、2001年から省に)が1993年制定の環境基本法に基づいて策定した環境基本計画が1994年12月に閣議決定されます。
 この環境基本計画は環境保全施策の大綱を示し、その施策の総合的・計画的な推進をめざすものです。その中で、「環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築」や「地球環境保全の推進」などの環境基本法の基本理念を実行していくという方針の下、以下の4つの長期的目標を定めました。
 「①環境負荷低減の、循環を基調とする経済社会の実現/ ②健全な生態系の維持・回復と自然と人間の共生の確保/ ③あらゆる主体が環境保全行動に参加する社会の実現/ ④国際的協調の下、地球環境保全への積極的な国際的取り組みの推進」このように、市民・行政・企業などのあらゆる主体が、環境の回復・維持・保全に向かって取り組むべき方向づけとして、「循環」「共生」「参加」「国際的取り組み」の4つのキーワードを示したのです。国際関係はもちろん、めざすべきは循環型社会であることも、自然との共生も、さらには市民参加の必要も明確に示されたのを知って、大袈裟かも知れませんが「へェー、役所がそこまで言うようになったのか」と、これらの4つのキーワードに驚きを覚えたものでした。この環境基本計画は6年毎に見直され、2000年に第2次、2006年に第3次と新たに閣議決定されますが、以上の長期目標の重要なキーワードはずっと継続されます。
 それぞれ副題に、第2次では<環境の世紀への道しるべ>を掲げて「持続可能な社会」の構築をめざし、第3次では<環境から拓く新たなゆたかさへの道>を掲げてあるべき社会の姿をより明確にしようとします。そして、新規に基本計画が策定される度に、あるいは基本計画に限らず環境省による新規計画策定の度に新たな用語が打ち出されるのを見出し、それらの新たな用語の展開に驚かされてきました。
 ここでは最も驚きを覚えた例として「統合的な向上」をあげておきます。第3次基本計画では、今後の環境政策の展開として6つの方向を掲げ、その一つに「環境的側面、経済的側面、社会的側面の統合的な向上」を挙げています。これには感心しました。よく環境的側面と経済的側面とは一方を立てれば他方は落ち込むといった具合に、二律背反的に捉えがちで、その矛盾にとらわれて、どうしようもないジレンマに陥ってしまいます。ですから「統合的な向上」という新たな用語には、その二律背反の捉え方や発想を克服し、ある側面だけの向上を求めるのではなく、それらに人と人の関係のありようを含む社会的側面をも加え、三つの側面が一緒になって共に向上することは可能であり、それをこそ求めるべきなのだ、本来の豊かさはそうして得られるのだ、といったようなメッセージが込められているように感じたのでした。
 外にも、「順応的取り組み」だとか、廃棄物を敢えて「循環資源」という用語に置き換えようとしているとかいったことがあります。それらが意味するところが何なのかについてはまた次回に述べようと思います。

NPO法人環境みらい下関
理事長 坂 本 紘 二



2009年7月号

「環境○○」を《○○環境》と置き換えてみると

言葉遊びのつもりはないのですが、タイトルのような「環境」のつく用語(4字熟語)を、逆にして言い換えてみると、結構意義深い使い分けができます。
 最初は「環境技術」に対する《技術環境》でした。私たちが本質的に問題にすべきなのは「環境技術」ではなく《技術環境》なのではないか、と思いついたのはもう30年以上も前のことです。
「環境技術」でしたら、それは公害防止技術や緑化技術やリサイクル技術などのように、環境破壊を防ぎ、環境保全に直接的にそして具体的に結びついていくような、ある面で目的が限定的なイメージしやすい用語です。「環境」と「技術」を逆さにして《技術環境》としたらどうでしょう。
 私たちの身の回りがどういった技術で覆われているのかを問いかける用語として《技術環境》は使えるのではないかと、私はその時考えました。
 1977年の福岡大渇水の折、給水車とともに「よく、水は限られた資源です」「節水を心がけよう」「節水意識を高めよう」などと訴える市の宣伝カーが走り回っていたのですが、そんな時、友人たちと「技術が先か、意識が先か」を議論していました。つまり、「意識、意識と皆よく言うのだが、意識なんてそんなに変わるものではない」、「蛇口に取り付けられた節水コマや節水型トイレを目の当たりに実感できてはじめて『節水』は意識するものだ」、「意識を叫ぶより(節水のための)技術を整えるほうが重要なのだ」といった風に。
 もちろん節水キャンペーンを否定してはいませんでした。しかし、節水コマが取り付けられた蛇口だと、意識せずに蛇口をひねってもどっと水が流れることがありません。逆に取り付けられてないと、たくさんは流すまいとしてもやはり限界があります。そういった技術装置自体が浪費型であれば、いくら意識してもつい易きに流されてしまいがちです。
 そこで考えついたのです。「《技術環境》という用語によって、私たちの身の回りを覆っているのはどういった技術なのか、それらの技術(技術システム)の型や規模や質を問いかけることができるのではないか」と。問いかけることから、節水や省エネなど環境にやさしい技術の整備が目指され、環境問題を克服するような、自然と折り合える《技術環境》に段々と変わっていくのではないか、と。もっとわかりやすい用語の例は、「環境教育」に対する《教育環境》です。
 「環境教育」は大事ですが、どのような《教育環境》の下に「環境教育」が行われているか、が本当は問題となるように思います。また、「環境偽装」に対する《偽装環境》の場合はどうでしょう。古紙の配分率や冷蔵庫の材料のリサイクル率の偽装(ごまかし)が問題視されての「環境偽装」ですが、偽装への誘惑に駆りたてるような《偽装環境》が現代社会に構造的に存在し、相当モラルが問われることになることの方が本質的な問題のように思います。
 どうも「環境○○」を《○○環境》と置き換えた用語を使うことによって、私たちが置かれている状態(環境)を根本から問いかける出発点になりそうです。

NPO法人環境みらい下関
理事長 坂 本 紘 二



平成20年5月30日 設立5周年に寄せて

「環境みらい」をめざして

 下関市における環境・リサイクル啓発活動の公設民営施設を運営するNPOを立ち上げ、5年が経過しました。活動は順調に広がり、NPO「環境みらい下関」をボランティアで支える会員も200名を超えるまでになりました。
 ノーベル平和賞を受賞したマータイさんは指摘しています。「〝もったいない〟は3つのR【Reduce・Reuse・Recycle】を一言で言い表している・・・」と。私たちはこの「"もったいない"を広めよう深めよう」をスローガンの一つに掲げ、目標とする循環型社会の形成に向かって、3Rの認識やそれを推進する活動を行ってきました。 
 また、下関の都市部と農・漁村部との交流・連携の活動を進める中で、2年前から、竹林ボランティア『しものせき竹取物語』を結成し、「里づくり都市しものせき」のスローガンを掲げながら竹林整備と竹材の利活用も進めてきました。
 近年、歴史的な町並み保全等の景観まちづくりや里地・里山等の二次的自然の再生・保全を推進する「里づくり」の活動が全国で徐々に広がりを見せています。
私たちは、新生下関市の誕生を期に、それぞれの地区との結びつきを強め、都市部に生活する者が里山・里海に出かけ、里地の人々と交流し、里の保全と資源循環のしくみづくりをめざす「里づくり都市しものせき」の推進活動にも力を入れています。
 「しものせき環境みらい館」啓発棟における活動の目標は、3R活動を推進し資源循環都市づくりをめざしながら、人と生きものにやさしい環境を育んでいくことです。そのためには、いま、私たちにどのような自然とのつきあい方やかかわり方が必要とされているのか、どのようなことを子供たちに伝えていけばよいのか、そして《環境みらい》に何を届けるべきか・・・。これらの課題に向かい合いながら、これからも活動を進めていきたいと思っています。

NPO法人環境みらい下関
理事長 坂 本 紘 二






NPO法人環境みらい下関設立5周年記念事業「みらいへの贈りもの」

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